藤田竜が地元記念V

藤田竜矢
迷うことなくひとつになった関東勢の作戦がズバリ。数的有利な流れを作り出し、藤田が導かれるようにゴールを先頭で駆け抜けた。池田が吉田の反撃の芽を摘むように絶妙なペースを演出。平原の番手発進に、藤田は追走に専念した。
「僕はあんまり口を出さずに、前の2人に任せてました。あとは平原の後輪だけを見ていた」
平原の番手まくりに浮いた吉田が力尽きて、浅井も共倒れ。後ろを固めた芦澤が続いて、あとは藤田が平原を抜くだけだった。
「自分の脚が回らなくて、抜けないと思った。3(着)までに入れれば御の字と思っていたんで、まさか優勝できるとは」
直線半ばで平原に並ぶと、怒とうの追い込みでV。13年の高知以来、2度目の記念を地元で遂げた。しかしながら、今シリーズを迎えるまでの直近はF1の3場所で未勝利。2度の準決進出失敗と順風満帆というわけではなかった。それだけに今リーズの抜群の動きは、神がかり的でもあった。
「また、普通の選手に戻ります(笑)。次の予選を突破できるように、一戦、一戦集中していきます」
記念Vにもおごることなく、いつもの笑顔で藤田が後輩たちと喜びを分かち合うのだ。
2着の芦澤が、静かに口を開いて地元勢をたたえる。
「埼玉勢の気持ちの強さですね。平原も今日は気合が違っていた」
吉田に屈した準決を糧に、平原が今度はためらうことなく番手まくりを敢行。ゴール前では粘りを欠いたが上位独占に納得の顔。
「3日間ヘボいレースが多くて…。吉田さんが強いんで、昨日みたいにちゅうちょしてしまうとと思って。今日は5人いるってことを頭において発進しました」
6番手の吉田は仕掛けるタイミングを無理やり作り出して、打鐘の4角から力任せに踏み込むが不発。
「昨日のことがあるから、同じ位置から仕掛けても出られないと思った。今日は平原の前(池田)の力が昨日(の土屋壮)と違った。案の定、平原が出ていったけど、収穫はあった」
大役を果たした池田は、ホッと胸をなで下ろす。
「平原さんは失敗してもいいって言ったけど、失敗はできない。いい風に(地元を)盛り上げられた」