武田豊が4度目の制覇
前回の平塚記念で2勝を積み上げたものの、今年の通算勝利をわずか3でシリーズを迎えた武田。全幅の信頼を寄せる平原の番手から挙げた勝利が、今年の初Vだった。
「今年は酷い状態からのスタートだった。全プロと言っても競輪は一緒ですから、気持ちをひとつに集中した」
16年の始動となった和歌山記念の初日でまさかの落車。初勝利が4月と例年にない苦渋を味わっている。
「こういうシーズンはあんまりない。でも、焦る気持ちはない。自分の競輪をしようと毎日をすごしている」
あらためて強さを感じた初日と同じ平原の背中を追った。平原が先行の腹を固めると、武田は番手の仕事に専念した。
「平原君は掛かっていました。ラインで決めようと思って必死で仕事をしたけど、まだまだですね」
中団の浅井は最終ホームから早めの反撃。平原との車間を詰めながら武田が絶妙なブロックで阻むと、諸橋と接戦のゴール勝負を制した。
「普段は後輩がいて(番手から出て)いくレースが多い。(別線を)止めてっていう走りが、強い平原君とできたと思う。番手戦での勝利ですけど、グランプリチャンピオンを止めたのはうれしい。ただ、なんとしても(ラインで)ワンツースリーと思っていたんでそこは悔しい。一番信頼している平原君ですから」
ラインでの上位独占を命題にあげながら、後半のビッグ戦線を見据える。
「これから33バンクのスピードレース(オールスター・松戸、共同通信社杯・富山、寬仁親王牌・前橋)になると思うんで、さらに対策を練って気持ちを高めていきたい」
盟友の番手でようやく勝利の味を思い出した武田の16年は、これからだ。
中割りで鋭く武田に迫った諸橋だが、惜しくも2着。
「ちょっと遠慮しましたね。残念。そこが自分の心残り。ダメですね。容赦なく行かないと。1回(武田を)抜いてますもんね。今日はそこだけ」
任せた新田は終始包まれ仕掛けられず。それでも渡邉は空いたコースを伸びて3着。
「みんな強かったです。僕は連日、コースが空きました」
レースの主導権を握った平原は、4着もそのレース内容には満足げに口を開く。
「半分はあの展開になると。今日は自分の踏むポイントだけ決めて、そこで来なかったので思い切って踏んだ。残れなかったのは今の力だけど、ラインの競走はできたかと」
浅井の巻き返しでチャンスが生まれた新田だったが、脚を余して不完全燃焼。
「失敗しました。浅井さんが仕掛けたところを行けば良かった。待っちゃいました…」