• 全プロ記念競輪5/21〜5/22

後記 FⅡ 伊東 05/21

武田豊が4度目の制覇

武田豊樹

武田豊樹

 レース後、祝福するファンへハイタッチで応える武田豊樹選手。

 前回の平塚記念で2勝を積み上げたものの、今年の通算勝利をわずか3でシリーズを迎えた武田。全幅の信頼を寄せる平原の番手から挙げた勝利が、今年の初Vだった。
 「今年は酷い状態からのスタートだった。全プロと言っても競輪は一緒ですから、気持ちをひとつに集中した」
 16年の始動となった和歌山記念の初日でまさかの落車。初勝利が4月と例年にない苦渋を味わっている。
 「こういうシーズンはあんまりない。でも、焦る気持ちはない。自分の競輪をしようと毎日をすごしている」
 あらためて強さを感じた初日と同じ平原の背中を追った。平原が先行の腹を固めると、武田は番手の仕事に専念した。
 「平原君は掛かっていました。ラインで決めようと思って必死で仕事をしたけど、まだまだですね」
 中団の浅井は最終ホームから早めの反撃。平原との車間を詰めながら武田が絶妙なブロックで阻むと、諸橋と接戦のゴール勝負を制した。
 「普段は後輩がいて(番手から出て)いくレースが多い。(別線を)止めてっていう走りが、強い平原君とできたと思う。番手戦での勝利ですけど、グランプリチャンピオンを止めたのはうれしい。ただ、なんとしても(ラインで)ワンツースリーと思っていたんでそこは悔しい。一番信頼している平原君ですから」
 ラインでの上位独占を命題にあげながら、後半のビッグ戦線を見据える。
 「これから33バンクのスピードレース(オールスター・松戸、共同通信社杯・富山、寬仁親王牌・前橋)になると思うんで、さらに対策を練って気持ちを高めていきたい」
 盟友の番手でようやく勝利の味を思い出した武田の16年は、これからだ。
 中割りで鋭く武田に迫った諸橋だが、惜しくも2着。
 「ちょっと遠慮しましたね。残念。そこが自分の心残り。ダメですね。容赦なく行かないと。1回(武田を)抜いてますもんね。今日はそこだけ」
 任せた新田は終始包まれ仕掛けられず。それでも渡邉は空いたコースを伸びて3着。
 「みんな強かったです。僕は連日、コースが空きました」
 レースの主導権を握った平原は、4着もそのレース内容には満足げに口を開く。
 「半分はあの展開になると。今日は自分の踏むポイントだけ決めて、そこで来なかったので思い切って踏んだ。残れなかったのは今の力だけど、ラインの競走はできたかと」
 浅井の巻き返しでチャンスが生まれた新田だったが、脚を余して不完全燃焼。
 「失敗しました。浅井さんが仕掛けたところを行けば良かった。待っちゃいました…」

Race Playback

レース展開3
 信頼する9平原康多選手の先行に乗ると、厳しく中を割る4諸橋愛選手の追撃をギリギリこらえて勝利した3武田豊樹選手。

レース経過

誘導員 : 望月永悟

 号砲が鳴ると、単騎の村上が浅井や新田を制して正攻法の位置へ。初手は村上、新田―渡邉、原田、浅井―金子、平原―武田―諸橋の並び。
 レースが動いたのは青板の1センター。平原の動き出しに合わせて浅井が上昇。誘導員後位が入れ替わる。その上を平原が押さえると、中団は関東勢に続いた原田と浅井で併走。平原は別線からの巻き返しがないと見るや、赤板の2コーナーから先行態勢に入る。外併走の原田は打鐘の2センターで位置取り争いに負けて後退。平原が全開で逃げるなか、番手の武田は車間を空けて別線の反撃に備える。中団を確保した浅井は最終ホームでスパートするも、武田に阻まれ不発。新田も外が被ってしまい仕掛けられない。直線に入り、諸橋が中を割って迫るが、番手から抜け出した武田が優勝。あと一歩まで詰め寄った諸橋が2着。直線で鋭く伸びた渡邉が3着に入る。

ページトップへ