• 立川競輪場開設65周年記念鳳凰賞典レース1/4〜1/7

後記 GⅢ 立川 01/04

伏兵が内をスルリ

北津留翼

北津留翼

 アレアガールズに囲まれ17年最初の記念「鳳凰賞典レース」優勝賞金ボードを掲げる8北津留翼選手。内から抜け出しS班4人を退けて、4度目の記念制覇を飾った。

 シンプルな組み立てが北津留にでっかい福をもたらした。平原、稲垣、新田、輪界屈指の機動力を備えるS班3人が、それぞれ単騎での戦い。一筋縄ではいかない難解な細切れ戦で、北津留は前々を心掛けた。
 「できるだけ前で、取れたところをと思っていた」
 稲垣が愛知コンビを受けると、北津留は4番手の内でじっと我慢。最終バックまで続いた小埜との併走をこらえると、前の稲垣がまくりを放つ。が、稲垣の車の出は一息。内から1車押し上げた北津留は、稲垣をけん制した吉田に続いて、逃げる深谷の空けたスペースにも俊敏に反応した。
 「稲垣さんが仕掛けたけど、付いていくのがいっぱいだった。脚がないんで内を行くしかなかった(笑)」
 直線の入り口で内から深谷を抜き去った北津留は、岩津を振り切って先頭でゴールを駆け抜けた。
 「一年に一回のラッキーを使っちゃいました(笑)」
 いまでは新田、浅井のS班2人をかかえる90期。そのなかでもピカ一の素材と言われた北津留も、今年の4月に32歳を迎える。
 「脚がないんであきらめて、それで冷静に回りを見ようってなりました。32歳って、もうおじさんですよ。いまは2人の子どもが自転車にはまって、自分の練習仲間になってます」
 記念Vで幕を開けた17年。これ以上ないスタートを切っても、北津留のマイペースに変わりはない。
 内を突いた北津留のコース取りにもソツなく続いた岩津が、流れ込んで2着。
 「ワンツーなんで100点満点。(北津留は)言った通りというか、落ち着いてレースをしてくれた」
 絡んだ岩津に最終2角で弾かれた平原は、7番手からの立て直し。消化不良の3着を悔やむことしきり。
 「うまいこといきませんでした。悔しさしかない。ダウンの必要がないくらい(脚を)使ってないです」
 逃げる深谷の番手で願ってもない流れが訪れた吉田は、最後の詰めを誤った。
 「全部、俺のせいです。深谷もタレてなかったんで、4コーナー勝負と思った。しばらく後悔しますね…」
 「軽いコースを探して、(内が)空いちゃった。失敗です。でも、手応えはつかんでいる」と、逃げた深谷は、気持ちを整理して、帰り支度を始める。

Race Playback

レース展開3

レース経過

誘導員 : 深井高志

 北津留―岩津で前受け。以下は石井―小埜、平原、稲垣、深谷―吉田、新田で周回を重ねる。
 青板3角で深谷が動きだすと、稲垣も上げて、先に北津留に並び掛ける。そこを深谷が打鐘で叩いて先制。千葉コンビに平原、新田も切り替えて続く。一方、稲垣は愛知の2人を出させ、石井と併走。稲垣の後ろには北津留―岩津。3番手を稲垣と取り合う態勢から、最終ホームを過ぎて石井がまくるも、全く車が出ずに2角で後退。石井に続いた小埜、平原も苦しくなる。バック手前で今度は稲垣がまくりにいくが、こちらも深谷の掛かりの前に思うように進まず。だが、このときに北津留が内に入ってくる。北津留は2センターで吉田の内まで上がると、4コーナーで深谷の内も空いたのを見逃さなかった。直線入り口で先頭に躍り出た北津留は、同じコースを辿る岩津、平原の追撃を許さず押し切った。

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