• 小田原競輪場開設99周年記念北条早雲杯争奪戦2/10〜2/12

後記 GⅢ 小田原 02/10

優勝は無欲の田中晴

田中晴基

田中晴基

 ラインの力で初のG3制覇を遂げた田中晴基選手が、仲間の胴上げで宙に舞う。(写真左、上)  根田空史選手(左)、小埜正義選手の間で祝福を受けて「今日は2人の男気です」と感謝。(写真左、下)  結束した千葉勢の3番手で別線の反撃を阻んだ4田中晴基選手が、ゴールを先頭で駆け抜けV。(写真右)

 根田が念願の記念初Vを飾ったのが、1週間前の2月5日。その根田を先頭にラインの力を誇示した千葉勢が、タスキをつなぐように2週連続でG3を制した。
 「自分でも予想外ですね、小埜さんに獲ってもらえればくらいの気持ちでいた」
 番手の小埜に圧倒的な支持が集まるなか、優勝のタスキを受け継いだのは3番手を固めた田中だった。
 「後ろから(別線が)来たら小埜さんが出て行くような流れだった。僕は誰も小埜さんに並ばせないっていう気持ちでいた。そしたら堀内君をもっていって、新田さんを締め込んだら、僕が並んじゃった(笑)」
 一度は石塚に出られた根田だが、赤板過ぎには再び主導権を奪い返す。根田のダッシュに遅れながらも小埜が必死に追いかけ、田中が続く。小埜が最終2角から番手まくりを打つと、田中は別線の堀内のまくりをブロック。返す刀で新田を内に閉じ込めて、直線の半ばで鮮やかに抜け出した。
 「小埜さんは(番手から)出る前からキツそうだった。(優勝は)予想外だったけど、よかったです」
 デビュー4年目の09年にはS級の舞台を踏んだ田中だったが、その後は何度かのA級暮らしも味わった。歳月は流れようやくG3制覇までたどりついた。
 「今回は3日制のG3だし、全日本選抜組もいないですから。今度は4日制を獲りたいですね」
 初日特選に次いで不慣れな3番手をセンスでこなした田中。無欲のVからさらに夢は膨らむ。
 渡部は最終ホームでは9番手。空いた中のコースを強襲して2着に伸びた。
 「9番手で全然、前が見えなかった。そこから(コースが)空いたけど、新田さんが態勢を崩していたから、見ながらだった。それでも9番手から伸びたんで」
 千葉勢とは別線で4番手をキープした堀内は、最終2角からまくりを放つ。田中のブロックで失速も、最後まであきらめることなく踏んで3着に入った。
 「仕掛けられたけど、うまく止められちゃった。田中さんを乗り越えられたらよかったんですけど…」
 根田の踏み出しに遅れた小埜は、追いつくも脚力を消耗。勝負どころの番手まくりに響いて、本来の力強さに欠けて5着。G3初Vは、またもお預けとなった。
 「前が強すぎました。自分が振って中団は確保しておかないとって思った。それで振ったら、(根田に)行かれちゃった…」
 一度は3番手に入った根田だが、青板の4角からすかさず反撃。先行屋のプライドで石塚を叩いた。
 「石塚君が来るのが遅かったんで、そこで自分は(先行の)スイッチが入りました。そのあとは(3番手に入ったけど)もう先行選手としての意地ですね」

Race Playback

レース展開5

レース経過

誘導員 : 加藤圭一

 周回は根田―小埜―田中―堀内―新田―松川―渡部―石塚―西岡の並び。
 青板ホームから石塚が叩きに行く。2コーナーから根田も踏み込むが、冷静に空いた3番手へ車を下げる。しかし、出切った石塚がペースを落としたところを逃さず根田は赤板前から反撃開始。踏み出しに口が空きながら何とか小埜が続くと、ここでようやく打鐘が入る。叩かれた石塚は後退。4番手に堀内が入り、松川は最終ホームから巻き返しに行くが、切り替えた西岡と動きが重なり躊躇する。2コーナーから小埜が番手まくり。その上をまくって来た堀内を田中がブロックすると、空いた内に新田が切り込む。新田にすくわれた田中はそのまま前に踏み小埜を交わしてⅤ。自力選手がそろって外に膨らむ中、松川後位から空いた中バンクを鋭く伸びた渡部が2着に。外を耐えた堀内が3着に食い込んだ。

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