北津留翼がまくり一閃

北津留翼
北津留が電光石火の一撃を見舞った。もつれた前団の戦況を見極めると、最終3コーナーからアタック。ゴール線を1着で駆け抜けて、今年2度目の記念制覇。レース後は、「園田(匠)さんが連覇してくれた方が話的にはよかったですね」と、いつもの北津留節で場を和ませた。
「(初手の位置取りは)前がよかったです。でも、後ろになっても早めに動いたら一緒かなって。(武田のイン粘りは)加倉(正義)さんが予想していて、言った通りになりましたね。2センターでトップスピードに乗るように仕掛けました。(出切ってからは)園田さんに抜かれるかなって思ったけど、来なくて。でも、園田さんはすごいスピードで来るだろうから、めいっぱい踏みました。ワンツーを決められてよかったです」
抜群のスピードを見せてのVも、満足する様子はない。さらなる速さを求め、大好きな自転車と向き合う。
「(今後は)自転車を換えてもいいかなと思っています。(現在使っているフレームは)やわい。もう少しかたければ進むので。新しいフレームは、もう持っているんですけど、いつ出そうかなって思っていて。次のはカチッと進む自転車です。調整して使おうと思っています」
1カ月後に迫った高松宮記念杯競輪の抱負を聞かれても、「G1はみんな強いので厳しい。そこは園田さんに任せて(笑)」と笑顔で締めくくった。いつも等身大の自分であり続ける北津留。しかし、笑顔の裏に隠れた闘争心が燃え上がれば、輪界の頂にも手が届く日がくるだろう。
踏み出しで口が空いた園田だが、懸命に北津留を追いかけて2着。レース後は後輩の優勝を祝福した。
「作戦通りでした。二次予選の感じで、翼に全力で行けって言っていて。翼のダッシュで口が空きましたね。悔しいけど、ワンツーが決まったので良かった。最後はマークの決まり手が付いたけど、翼が1着なので良いです」
終始後方にいた単騎の渡邉は、九州勢を追う形で3着に入った。
「(作戦は)北津留さんに付いていって。追い込めればと思ったけど。(2コーナーで北津留が)いくと思ったら構えて。それで詰まってしまって、バックを踏んでしまった。詰まった時に仕掛けられたらよかったけど」
先行した山田は2センターで失速してシンガリ負け。
「武田さんに踏まれるとは思ったけど、粘られるとは思わなかったです。あれでは、(まくり頃に)なりますよね」
検車場へ引き揚げてきた武田は、淡々とレースを振り返った。
「前(山田)が流すと思って、引けない状態になってしまった。中途半端になってしまいましたね」