最高の舞台でワンツー
「一番は成田さんとワンツーを決めることが目標でした」。
全幅の信頼を寄せる成田と、G1の決勝では久しぶりの連係。新田の心は燃えた。戦況を見極めて、最終2コーナーから踏み上げる。前団のもつれを横目に、抜群のスピードで前団をひと飲み。持ち味を発揮して、大会連覇を達成した。
「本当に理想通りというか、スタートを取れて。成田さんと作戦を組んだ通りになりました。自分の力を出せるタイミングが取れたのもすごく勝利につながったと思います。本当にゴール前で成田さんが後ろに見えたのは嬉しかったですね。成田さんから『お前の好きなように走れ。信じている』と言ってくれたんで。自信を持って仕掛けることができました」
4年前、ここ岸和田で行われた高松宮記念杯では先行して成田の優勝に貢献。そして、自身も準V。そこが競輪人生のターニングポイントだった。
「あの時の想いは、まず成田さんの優勝の嬉しさ。それと、僕もあれだけ頑張れて力が付いてきたなっていう自信。それと、目の前で優勝を見て、僕もタイトルを獲りたいって気持ちが強まって。その後のダービーやオールスターの優勝につながったと思います。僕の中で(高松宮記念杯は)特別な想いがあるのかもしれないですね」
競技と本業で多忙な日々の中、なかなか結果を出せずにいた今年。しかし、この優勝で同じく世界を相手に戦う仲間たちにエールを送った。
「(ナショナルに)一流を育てるコーチが来て。そのコーチの思惑通りに練習を進めることが競輪にかなり支障がでるスケジュールになって。この優勝っていうのは競輪界のためでもあるし、世界を目指す競技者の選手達を育てるという意味でも、一緒に戦った仲間達に勇気をつける意味でも本当にいい大会になったと思います」
これで年末のグランプリ出場権利を獲得。リベンジを誓う半年後の頂上決戦へ照準を合わせる。
「一番はグランプリに向けて。去年、自分の不甲斐なさで失格っていう形で応援してくださった人たちに迷惑をかけてしまっているんで。その応援してくださっている人たちがまた応援したいと思えるような選手になれるようになって、グランプリに戻ってきたいと思います」山田英は見せ場をメイク
成田が食らい付いて準V。大舞台でワンツーを決めた。
「やっと付いていけただけですけど、それが厳しいから。(久しぶりの岸和田でのG1決勝は)懐かしいなって思いました。雰囲気とか思い出す感覚ですね。なかなか戻らなくて期待に応えられないですけど、こういう所で走れたのは大きい。でも、まだまだ力不足です」
平原をすくった山田は、福島コンビに上をいかれて3着。しかしながら、2度目のG1決勝の舞台で見せ場を作った。
「自分のタイミングはいいように来ないので、外か内か関係なく前々にと。そこがかみ合えばチャンスなんですけどね。外が被っていたので、これでいってもしょうがないから内しかないと。もう一回(G1の決勝に)乗りたい」
外に浮いた平原は、山田と併走しながら懸命に踏み続ける。しかし、最後は力尽きて6着に終わった。
「関東と近畿で力勝負と思っていたんですけどね。僕が仕掛ける前にヒデが来てしまって。対処できなかったし、反省します」
赤板で位置を確保できなかった稲垣は、そのまま終始外併走に。苦しい展開を打破できず8着に沈んだ。
「赤板のところで新田の差し残しで、位置を取られてしまいました。それが敗因の一つでもあります。(外併走になってからは)周りの動き次第でもあったんですけど、しっかり位置を取って自力を出し切るつもりでいました。中途半端になってしまいましたね」