歓喜の地元記念制覇
「よかったぁ。あぁ、よかったぁ。苦しかった」
デビュー20年にして手に入れた地元記念Vをかみ締めながら、諸橋は何度も同じ言葉を繰り返した。
2日目に吉田拓の後ろで競りを演じた木暮とは別線。渡邉とタッグを組んだ。
「オマエが勝てる競走でいい。そうすれば俺にもチャンスがある」と、売り出し中の若手の力を信じた。
急造のラインも、渡邉は迷わず風を切る。追い上げた木暮と稲垣で3番手がもつれると、その上を浅井が踏み上げるが木暮とからみ不発。浅井、木暮、稲垣のつばぜり合いが3番手で繰り広げられ、番手の諸橋に追い風は吹いた。
「後ろがもつれるのは予想外だった。あとあおりをつくってと思った」
浅井をどかした木暮が外併走からまくり上げると、諸橋が2発目のブロックで仕留めて直線を迎える。内から稲垣、外を椎木尾の近畿勢が迫るが、力いっぱいハンドルを投げた。
「(最終)4コーナーからは自分のモガキじゃなかった。その辺がプレッシャーに弱いですね(笑)」
椎木尾を4分の1輪振り切ってのゴール。4度目の記念Vは、地元だけに格別な思いがこみ上げてくる。
「違いますね、さすがにここまでうれしいっていうのはない。2カ月くらい前、高松宮記念杯が終わってからは、ここを照準にしていた。うまく結果が出てよかった。年々体もいうことをきかなくなっている。しっかり休んで、また一から」
不惑を迎えて初めてのシリーズで、地元記念を制覇。これからも自分の道を信じ、諸橋スタイルで突き進む。
稲垣マークから外に持ち出した椎木尾が、諸橋に詰め寄るも2着まで。
「おしい~、届いたかなと思ったんですけど」
渡邉ラインを受けて好位確保の稲垣は、最後まで仕掛けられず中割りも及ばず。
「(渡邉が)掛かっているなかで、木暮君が追い上げて来てへばりついていた。それで自分のコースが確保できなかった。最後は内に行くしかなかった」
即席ラインだったが、渡邉はケレン味なく先行策。
「(地元の諸橋が番手で)変なレースはできないから、荷が重かった。でも、よかった。(先行するタイミングが)早くなっちゃったけど、残れる感じもあった」