山岸佳が逃げ切りV
ニューヒーローの誕生だ。開口一番「まさか1着とは。ありえないです」と驚きの表情を見せた山岸。強気な組み立てが、栄光をもたらした。
「(渡部)哲男さんや、岩津さんにいかれて、3着かなと思いました。引き揚げてきたら、(芦澤)大輔さん達が水を持って笑顔で待っていてくれて。そこで初めて1着を確信しました」
決勝の組み立てに迷いはなかった。赤板から果敢に風を切ると、波を作って別線を翻弄。最後は横一線のゴール勝負を制し初の記念Vを決めた。
「準決勝が不甲斐なくて。決勝は、2車でも先行しようと思っていました。S班の渡邉一さんや、山中さん達を相手にどこまで粘れるか勝負しようと。理想通りに脚を使わず出られたし、ペースでうまく駆けられたと思います。バックが過ぎて、あとはゴールまでと思って踏みました」
輪界に新風を吹き込んでいる107期から2人目の記念覇者が誕生。そして、10月には初のG1となる親王牌が控えている。大舞台でも、持てる限りの力で戦い抜く。
「(競輪祭の出場権利を取って)嬉しいけど、まだまだ実力が伴っていないと思うので。新山(響平)も、吉田(拓矢)も上にいるし、少しでも追いつけるように頑張ります。(今後は)G1で活躍して、最後はヤンググランプリで勝負したいです」
渡部は8分の1輪差届かず準V。「いったかと思った」と悔しがる。
「神山さんの動きも気になって、渡邉一君の気配も感じて迷ってしまった。張りながら、もう少し早めに踏んでいればいっとったね。でも、競輪祭の権利を取れていなかったし、よしとします」
岩津は好位確保からまくるも、山岸に屈して3着。
「1コーナーくらいから詰めていければ、山岸をまくりやすかったけど。神山さんがうまかったですね。(取鳥)雄吾が頑張ってくれて、決勝に乗れたので。その分も気合を入れて走ったんですけど」
渡邉一は、山中をすくい5番手を確保。しかし、それが仇になってしまった。
「ちょっと見過ぎました。5番手の位置が良すぎて。岩津さんは先に仕掛けないと思って踏んだら、岩津さんに踏まれてしまった。先に仕掛けていれば、山岸君と踏み合いになっても、(高橋)陽介さんにチャンスがあったと思います」