勝ちに徹した諸橋愛
決勝戦は勝負どころで思わぬ展開になる。先行態勢に入った吉田に、打鐘過ぎ4コーナーから根田の巻き返し。諸橋は神山がけん制した内を1センターからすくって吉田後位に。勝敗を分けたシビアとも言えるこの動きを諸橋自身はこう説明する。
「根田の勢いがよかったんで、(神山には)番手まくりに行ってくれと願ったけど、止めに行ってたので。1回目は待ったけど、2回目はかぶるなと思って待てなかった。意外と今日も(自分に)人気があったので、応えていかないとっていうのもあった」
7月弥彦記念から弥彦F1に共同通信社杯、そして今回と5場所で4回の優勝。この優勝で再び賞金ランクは7位に上がった。
「ちょっとすごい。自分でもビックリです。賞金を上乗せできたし、(グランプリ初出場が)少し見えてきた。江嶋(康光・39期引退)さんにも『この緊張感を楽しめ』って言われた。なかなか味わえるものじゃないし、いい緊張感でやれてます」
この勢いのまま諸橋が一気にグランプリ出場を決めてしまうのか。残りのレースに諸橋は全神経を集中させる。
地元勢が不発と見るや内に切り込んだ佐藤が諸橋に続く形で2着に入った。
「根田が絶対に仕掛けると思っていたから、行ったところで内に行けばいいかなって。(諸橋)愛ちゃんの後ろにはまったときにバックを踏んだし、そこでイチかバチかまくってもよかったかな」
単騎の筒井は周回中から佐藤の後ろ。佐藤が諸橋の動きに続くと、筒井も3着に流れ込んだ。
「しゃくれるところでしゃくろうかなとも思ったけど、脚を溜めとこうかなと。我慢して正解だった。練習めっちゃ頑張ってるんで嬉しいっす、この結果は」
根田は諸橋の動きで腰砕けになり大きく外を後退した。
「行けたと思った。でも、あれ(諸橋の動き)は予想外でしたね。コーナーの下りを使ってと思ってたら、神山さんと一緒に膨らんじゃったので…」
根田マークの中村は4着まで。「(根田が)頑張ってくれたけど力不足。また出直します」とレースを振り返った。