稲垣裕がV争いの主役
V争いの中心は稲垣裕之だ。今年はここまで優勝がないが、戦歴は高いレベルで安定している。後半戦に入って高地トレーニングを取り入れるなど、不惑を迎えても進化を続けている。当地は3年前の前回大会を制覇。さらに昨年8月のオールスターで準Vと好成績を残しているバンクだ。自力、番手戦のどちらになってもソツのない立ち回りで期待に応えよう。稲垣が頼りにするのは稲毛健太だ。7月当地では連日、圧巻の逃走劇で完全優勝を飾っている。その後も好調をキープできており、今シリーズも得意バンクで思い切りよく攻める。
千葉勢は山中秀将、海老根恵太、根田空史、中村浩士ら地元の看板レーサーが一致団結して牙城を守る。山中は2月四日市で記念初制覇。今年は南関の躍進を担う機動型としてビッグ戦線でも存在感を発揮している。輪界屈指のスピードで地元バンクを駆け抜ける。海老根は6年ぶり2度目の当大会制覇を目指す。近況は目立った活躍こそないが、調子は徐々に上向いている。南関の機動型が豊富な今開催は目標に事欠かない。地元のアドバンテージを最大限に生かす。それは中村にとっても同じだ。このシリーズ、そして10月の寬仁親王牌、千葉記念と大事なレースが続く。悔いのない状態に仕上げて4日間を戦い抜く。根田は相変わらず成績の波が激しいものの、はまった時の強さはトップクラスだ。
関東勢は吉田拓矢が引っ張る。6月岸和田の高松宮記念杯ではG1初優出。鎖骨骨折の影響もなくなり、さらに状態は上がっていくだろう。諸橋愛に、神山拓弥ら百戦錬磨の追い込み陣が吉田を盛り立てる。諸橋は9月武雄の共同通信社杯でビッグ初制覇。差し脚は相変わらず鋭い。長島大介は6月久留米で記念初制覇を果たした。後半戦に入って優勝2回と勢いはさらに加速している。
北日本勢も小松崎大地、飯野祐太に佐藤友和、佐藤慎太郎と他地区と渡り合える戦力を擁する。小松崎は8月平オールスターの一次予選でまくり快勝。続く同月久留米で久々の優出を果たすなど、ようやく明るい光が見えた。飯野はいまひとつ波に乗れていないが、得意の短走路で流れを変える。佐藤友は8月青森で決勝で人気の外国勢を鮮やかなまくりで粉砕している。佐藤慎も9月韓国で行われた日韓対抗戦競輪を優勝し、健在をアピールしたばかりだ。
追加参戦の吉田敏洋も軽視できない。鎖骨骨折から徐々に本来の姿を取り戻している。9月函館はオール連対で優勝を飾った。