柴崎淳が冷静に立ち回る
赤板過ぎで5車が落車する大アクシデント。難を逃れた柴崎は、慌てることなく思考を切り替えた。車を引き笠松とドッキングすると、 「(三谷)竜生とスプリント戦みたいになって、追い出しをかけました」と冷静にレースをコントロール。最後は、4コーナーから踏み込んで激戦を制した。
「(作戦は)4番手を狙おうと思っていて。郡司が無理にでも来たら入れようと思っていました。(落車で)人数が少なくなって、獲らなあかんという気持ちになりましたね。最後はギリギリまで待って。稲川さんが前を見て踏み込むタイミングと同時くらいに(仕掛けた)。(一回目の記念優勝が8番車で)ピンクはご縁がある」
来年、地元で行われる全日本選抜に出場するため尽力したが、出場は厳しい状況に。しかし、この優勝で一筋の光明が差した。
「(地元でG1が行われるのは)選手をやっている中で、最初で最後かもしれない。(9月松戸記念の)3日目から吹っ切れて、気持ちの整理がつきました。一戦、一戦が大事だと思って、気持ちを切らさずに走ろうと。(競走得点を一気に上げて)これで出場できたら、本当に持っていますね」
これで、前回の豊橋F1に続き、2場所連続での優勝。気持ちの切り替えが風向きを変えた。まだまだ目標へ予断は許されないが、最後まで前を向いて戦い抜く。
「自分の中では、まだまだ(状態を上げて)いけそうな気持ちがある。自転車に乗っていてもストレスがないし、気持ちよくレースができています。(選考期間内のレースは)あと、(11月の)別府と和歌山なので頑張ります」
落車を避けて三谷の番手回りとなった稲川。絶好の展開が訪れたが、柴崎に屈して惜しくも準V。
「(三谷)竜生も頭を切り替えて、ゴールまでしっかり駆けてくれました。最後の最後まで力を出し切って、どっちかが優勝できればよかったけど。残念と言うか、申しわけない気持ち。最後は脚力ですね」
先行した三谷が3着。慎重に言葉を選びながら口を開いた。
「何とも言えないですね。(落車後は)駆けた方がいいなと思って。でも、カカり切らなかった。カカり切っていれば、どちらかが優勝できたと思います」