強大な戦力誇る近畿勢
各地区から実力者がそろい混戦模様のシリーズだが、ラインの総合力なら稲垣裕之、三谷竜生、稲川翔の近畿勢が一番だろう。今年はまだ優勝から見離されている稲垣だが、強気な攻めの競走に徹していてレース内容は高く評価できるし、ビッグレースでは3回優参している。親王牌は準決4着で決勝にはあと一歩及ばなかったものの、準決は坂本亮の飛びつきを凌いで脇本雄の後ろを守り抜いており、動きそのものは悪くなかった。前を三谷に任せ、後ろを稲川が固めるなら稲垣が有利にレースを進められる公算が大きく、優勝候補の筆頭とみた。近畿勢の先陣を受け持つ三谷は、今年大きな飛躍を遂げた一人。京王閣ダービーを制覇し、タイトルホルダーの仲間入りを果たした。自力型ながら最後まで諦めない闘志あふれる走りが災いしここのところ落車が多いが、親王牌の初日特選で竹内雄の逃げをまくりで仕留めた脚勢は力強く、体調に不安は感じられない。好機に仕掛け先制なら押し切りも。
稲垣と対峙する武田豊樹にも同県の吉田拓矢、芦澤辰弘ら心強い味方がそろっている。武田はオールスターの落車で骨盤の臼蓋を骨折。親王牌から復帰し最終日は敗者戦ながら1勝を挙げたものの、まだ本調子ではなかった。しかしながら、現在賞金ランク第6位でグランプリ出場権獲得に大事な時期だけに、ここは気合で乗り切ろう。吉田は9月松戸記念着の動きには迫力があったし、親王牌は一次予選で敗退も2日目から3連勝。機動力を発揮できれば間違いなく強い。後ろが武田なら主導権は譲れない。ここのところ芦澤はF1開催が主戦場とは言え、直近4カ月の3連対率は75%のハイアベレージ。仕事人なのでラインの3番手をしっかり固める。茨城勢で上位独占の場面も十分だろう。追加で参戦が決まった神山雄一郎は、10月千葉記念を優出など状態を上げている。茨城勢との連係から、Vを目指す。
地元の郡司浩平は状態が気になる。前半戦はウィナーズカップ、4月川崎記念を制するなど上昇気流に乗っていたが、7月福井記念での落車以降はあまり動きが良くない。親王牌着も好調時のようなスピードの切れが見られなかった。地元のエースとして他地区に簡単に優勝は譲れないし、賞金ランクを第11位まで落として地元グランプリ出場にもう後がない。ここで流れを変えたいところ。南関勢では岡村潤が好気配。伊東サマーナイトでビッグレース初優参をたすと、親王牌ではG1初の決勝進出。ステージを上げているだけに侮れない一車だ。
西勢は、園田匠、阿竹智史ら個性派ぞろい。特に園田はビッグレースでも存在感を示していて、京王閣ダービー、伊東サマーナイトで決勝に乗っている。目標不問でコースを探して突っ込んでくるので目が離せない。最近の阿竹は確定板入りが多く自在戦が奏功すると連対も。