節目で念願の記念初V
迎えた仲間たちの手で宙に舞った山田が、照れくさそうに笑った。
「記念優勝はS級に上がってからの目標だった。すごくうれしい」
08年にデビューして10年の節目で、記念優勝をつかんだ。
「中団を取れたらチャンスがあるかなと。ただ、青森記念とかでも成田さんにキツいブロックを受けていたんで、そこは注意してた」
踏み遅れた準決の失敗だけはできない。神経を研ぎ澄まし4番手を確保。最終2角からまくった山田は成田を越えたが、椎木尾はからまれる。先頭に立った山田に、セーフティーリードが生まれた。
「まくり切ってから後ろの気配がなかった。でも4コーナーで誰か詰めてきた気配があったんで、もう誰も来ないでくれって(笑)」
強襲する井上を抑えてゴール。9月の落車で鎖骨骨折に見舞われ、復帰3場所目での優勝だった。
「正直、優勝できるとは思ってなかった。ただ、しっかり自分のレースをしてたら、もしかしてっていうのはあった。それは(村上)博幸さんにも言われていた」
デビュー3年目にG1初出場。徹底先行のスタイルで近畿地区に多大な貢献をしてきた山田も、今年で30歳。そのスタイルは徐々に変化を見せ、一介の先行選手とは違うオールラウンダーとしての道を歩みだしている。
「古性(優)とかがポンポン(記念を)獲っていて、同じような戦法になってきた自分も負けられないっていうのがあった」
近畿を支えてきた苦労人がつかんだ記念初V。表彰式から引き揚げて来た山田に、選手の誰もが祝福の声をかける。
最後方の吉田がたまらずインを進出するが、井上は切り替えを我慢。北津留の仕掛けを待ってから踏み込むも、時すでに遅く4度目の地元記念Vはお預け。
「(吉田)敏洋の後ろがあればアタマまであったかも…。でも、(北津留が)1回仕掛けるまで待った。直線が短かったです」
「さすがに(単騎の自分の)1車プラスしておけば、(北津留)翼も行くだろうって思った俺が甘かった…」とは、吉田。九州勢の仕掛けに期待したものの、思惑が外れ苦笑い。最終ホームから内を追い上げて、そのまま近畿勢の上をまくったがあおりを受けて3着。