若い2人の思惑ズバリ
22歳と23歳の静岡コンビがつくり出したハーモニーが、混戦で物を言った。簗田が絶妙のタイミングで主導権を握る。番手の渡邉も、慌てることなく間合いを取った。
「(初めての番手だったけど)イメージトレーニングはしていた」
最終ホーム手前から7番手の佐々木が反撃。3番手の川村が空けた車間を詰めると、渡邉は迷わず踏んで番手まくり。3角過ぎに簗田と川村が絡んで、直線の入り口では渡邉が後続を引き離していた。
「あれで(別線を)引きつけたら終わりだから、行かさせてもらった。(簗田)一輝のおかげです。(番手から出てからは)ちょっと影が見えたんでヤバいかなと思ったら、一輝がやっててくれてた」
一昨年にヤンググランプリを獲った南関のホープは、初めての記念ファイナルから5度目の舞台でチャンスをつかんだ。
「(記念は)まだ獲れないかなっていう感じもあった。自分だけの力じゃないし、後輩とのレースで(優勝できて)うれしい」
デビュー4年目の若武者は、これからも周りに流されることなく着実に歩を進めていく。
人気に推された単騎の中川は、例によってどっしりと構えて最後方。一撃にかけて、最終バック手前からまくるも2着が精いっぱい。
「届いたかなって思ったら、さらに前に(渡邉が)いました。あんなに離れてたんですね」
川村は思惑通り静岡勢を受けて、3番手を確保。しかしながら、簗田と接触が響いて失速の3着。
「静岡勢が絶対に行くと思っていたので、あの位置を取って勝負しました。付いていって(最終)2センターぐらいから外を踏めば、笠松君にもチャンスがあると思っていたんですが…」
5番手の鈴木は、仕掛ける前に愛媛コンビにかぶって不完全燃焼。
「終始、余裕があったんですけど。来たのが(中川)誠一郎さんだと思ってスイッチしようとしたら、4番(佐々木)だった。せっかく(吉田)拓矢に決勝に乗せてもらったのに生かし切れなかった」
主導権を握った簗田の落ち着いた走りが、渡邉を優勝へと導いた。
「静岡でどっちかが優勝できればと思っていた。2車だったんで、そこをどうにかしないとっていうのがあったけどよかった」