大会連覇へ吉田敏が闘志
シリーズの主役を担うとみられたダービー王の三谷竜生が直前で欠場。中部勢にとっては、3月開催に続き絶対に譲れない大会となった。軸になるのは、連覇を狙う地元の吉田敏洋だ。3月開催は2月全日本選抜での落車明けで万全の状態ではなかったが、浅井康ら周囲のアシストと気持ちで2度目の地元記念を勝ち取った。ダービーでも落車と再び試練の大会となったものの、そのダービーは最終日まで完走して3度の確定板入りと戦える状態にはある。ここも気力を振り絞り、自力で番手で他地区の強豪と対峙する。中部地区には竹内雄作、柴崎淳と機動型がそろったことも吉田にとっては有利だ。ダービーの一次予選でも連係した竹内はまだ本調子には遠いが、内容のあるレースで浮上のきっかけをつかみたい。竹内とは対照的に柴崎は動きが軽快だ。昨年後半から一気に調子を戻し、仕掛けもシンプル。準決勝まで勝ち上がったダービーもそうだったように、早い仕掛けを苦にしないのも好調の証だ。
吉田拓矢を先頭に神山雄一郎、諸橋愛と関東勢にも好メンバーがそろった。吉田は4月武雄記念の準決勝で落車したが、幸い怪我は軽かった。武雄から昨年のヤンググランプリで使ったフレームに戻し、初日に今年初勝利を挙げた。感じは上向きと見ていいだろう。神山も差し脚好調で、最近は白星が多い。ここは茨栃で吉田という好目標があるだけにチャンスだ。昨年後半から落車続きだった諸橋だが、あっせんがなかった4月にケアも含めて立て直す時間が取れた。感覚を取り戻して、ここからは上げていくだけだ。
三谷不在はあまりに大きいが、なおも役者はそろっている近畿勢も優勝争いにからんでくる。川村晃司、山田久徳の京都勢が機動型の2枚看板。年齢と共に好不調の波が激しくなってきた川村だが、3月玉野記念では初日特選で中井俊を利して吉田拓、山中秀を撃破、2日目の優秀戦では後方から豪快なまくりを決めて近畿別線だった三谷らを一蹴とまだまだトップクラスとも互角に渡り合える脚がある。山田もまた若手に前を任せるレースが増え、戦法の幅が広がってきた。オールラウンダーとして貴重な一車となる。ダッシュを生かした積極的な走りで売り出す石塚輪太郎が勝ち上がってくれば、両者はより有利に戦える。稲川翔、椎木尾拓哉が機動型をガッチリとガード。稲川は年末年始と落車が続いた影響で乱調気味も、ガッツあふれるマーク戦で自力選手からの信頼も厚い。対照的に椎木尾はF1戦を立て続けに優勝と差し脚好調。ともに優勝のチャンスは十分だ。
太田竜馬は本格的な気温の上昇とともに調子も上向き。まだ本来の豪快な走りが戻り切ってはいないが、鋭い出足を生かして優勝争いに加わるか。その太田のまくりを交わして4月別府で優勝している渡部哲男も差し脚好調で侮れない。
九州勢は、中川誠一郎がダービーを着で準決勝進出と勢いを完全に取り戻した。展開に注文はつくが、鋭いタテの脚はシリーズ屈指。園田匠も4月福井を優勝、武雄記念を優出など蘇った爆発的な末脚で虎視眈々と優勝を狙う。坂本亮馬もダービーでは着で中川、園田と同様にの準決勝へ勝ち上がり。6月には高松宮記念杯、地元の久留米記念と大事なレースが続くだけに、ここで流れを途切れさすわけにはいかない。