持ち味生かした渡邉一
平原の上昇に7番手まで下げた深谷は赤板前の4コーナーから一気に踏み込んで平原を叩くが、平原は竹内をドカして番手を奪う。そこを最終ホームから菅田がまくったが平原のけん制でスピードが鈍ると、すかさずバックから渡邉が自力に転じて同大会を初めて制した。
「壱道が本当にいいところで行ってくれました。浅井と雄作が邪魔になっていたし、あれがなければスッと壱道が出られたと思います。(菅田が)止まった瞬間に、もう踏み込みました」
競技と競輪の両立で、今年もレースに参加したのはわずか4開催だけ。それでも準決勝のレース後に「自分の何が勝ってるかといえばタテ脚なんで。タテ脚がしっかり生きる展開にしたい」。レース勘不足のハンディキャップをスピードでカバーすると話していた。前を回った菅田が作った流れではあるが、最後はそのスピードを最大限に生かした。
「壱道に対する期待が大きいレースでした。こうやってタテ脚で勝負してくれたっていうのが僕としては本当にうれしいですし、それが僕の結果につながりました」
次は1カ月後に控える地元オールスター。磨きあげたスピードを武器に、渡邉が大会連覇へ大きなはずみをつけた。
平原の分断にあった深谷だが、末よく2着に粘り込んだ。
「粘られてしまったし、展開は仕方ない。自分の力がないですね。作戦としては、前を取ってから引いて仕掛けられればチャンスかなって思っていました。(菅田のまくりを)合わせたと思ったら、もうひとり来ていて…。(シリーズをとおして)手応えはあったので、オールスターにつながると思います」
バックから外に持ち出して渡邉を追いかけた松浦が3着に。
「一成さんに差し込める手ごたえがあって、優勝は無理でも2着まではと思ってたけど、(平原に飛ばされた菅田に)少し引っかかって…。でも戦える自信にはなりました」
渡邉優勝の立役者は菅田だ。小細工なしのタテ脚で勝負した決勝戦を「ドンピシャであのタイミングが来たし、普通の先行選手なら行けてますね。でも、いい開催でした」と振り返る。
一方、4着の平原は「(深谷を)突っ張り切るか迷ったし、突っ張れたなあ」と悔しさをあらわにした。