最後方からの大まくりでV
松戸バンクで、中川の豪脚が唸りを上げた。通算6度目のG3制覇は、中川らしい豪快なまくりだった。
単騎の中川は、初手は前受けの太田ラインに付ける。太田は青板周回で上昇してきた吉田を突っ張って出させない。これで中川は3番手内で包まれる苦しい形になった。
「(3番手は)かぶるところなんで嫌だった。とりあえず内を締めながら吉田が入ってこない様に」
もう一度踏み上げた吉田が主導権を奪うと、すかさず石塚が反撃に出てペースは上がる。最後方となった中川は最終ホームからまくっていくが、浮いた石塚の様子をうかがいトップのギアは残したまま。石塚と、村田の間を抜けたあとが中川の真骨頂。他の選手が止まって見える次元の違うスピードを披露した。
「(ホームから)踏んだんですけど、石塚の外は絶対行きたくないと思って、ゆっくり抜けようと思った。抜け切ってからは全開で踏めました」
吉田の番手の中村がまったく反応できず、楽にゴールを駆け抜けた。その中川の視線は、すでにこの先を見据えている。
「今回はオーバーワークでした。初日、2日目は(疲れが)抜けきっていなかった。決勝はよかったですね。新田(祐大)や、ワッキー(脇本雄太) 、深谷(知広)とか、あの辺はすごい。そこに負けないくらいにしたい。前回(7月福井記念の決勝で)ワッキーに付いて、トップの脚力を感じた。あれで目標が定まった。(G1を)獲りたいですね」
地元記念Vを狙った中村だが、中川のスピードに屈して2着。
「吉田君は全力を尽くしてくれた。(ラインの)3人で出し切れましたね。(中川のまくりは)もうどうしようもなかった」
最終2センターから狭いコースを縫った村田が3着に入った。
「伊勢崎さんのところは空かなかったし、イチかバチかあのコースへ行きました。1着を狙っていたんですけど、3着狙いだったら(確定板も)ダメだったと思う」
一度は太田に突っ張られた吉田だったが、主導権を奪って石塚も不発に沈めた。4着でも太田、石塚との若手対決は制した内容は価値がある。
「とりあえず出ないと意味がないんで。地元の中村さんのためにも。(石塚は)絶対に来ると思ったけど、あそこは負けられないですね。やることはやったんで」