単騎でも強かった
「おこがましいですけど、フレームの色は滝澤(正光)さんを真似た水色です。(現役時代の)エピソードを聞いて自分も頑張ってきました」
幼い頃、滝澤氏のレースを見たことがきっかけで競輪選手を目指した村上。憧れの大先輩の冠レースでつかんだ今年初優勝だった。
「単騎なんでやれることは限られてくると思ったけど、雰囲気を見て自分で前々に踏むのか、最後のワンチャンスにかけるのかの判断でした」
打鐘で山岸を突っ張って先行態勢に入った坂本の3番手をキープ。外併走の山岸ラインをけん制しながら、反撃のチャンスをうかがうと、山岸が最終1センターで力尽る。自分で踏んだ神山を2角過ぎで飛ばして、前団をまくり切った。
「タテヨコ強い選手ばかりだったので、チャンスをモノにできて良かったです。この数カ月は後輩の頑張りで、今回に関しては稲毛(健太)の頑張りで決勝に乗れたので、凡走だけはしないようにと思っていました。連日、声援を送っていただいて、現状の力以上のことができました」
今回は共同通信社杯の落車の影響もあり、万全の状態ではない中でのシリーズだった。それでも、これまで近畿の後輩である三谷竜や脇本雄らとともに賞金を積み上げて、現在の賞金ランキングは4位。昨年は出場を逃したグランプリの舞台が、今年は確かに見えている。
「この年で出直しもないんでしょうけど。出直しというか、守るところから攻めるところに行くっていうところで、自分にとってはチャンスなのかなと思っていました。昨年、出場を逃してチャンスがどこまであるのか分からない中で、もう一度グランプリの舞台に。現状の自分のコンディションもあるので、中期的なスパンで考えるとグランプリを目標に組み立てていくのが、今の目標かなと思います。そのなかで競輪祭もあるんで」
村上が見据える先は、3度目のグランプリ制覇だ。
内の鈴木が気になって村上を止められなかった諸橋だが、村上に続いた成清をさばいて2着に入った。
「(坂本)貴史はちょっと踏みすぎたかな。引きつけて貴史と(ゴール)勝負ができたらなと思っていた」
3着の成清は「脚が溜まってなかったんで、あれで(諸橋にさばかれず)村上に付いていっても優勝はできてないでしょうね」と振り返った。