7年ぶりの美酒
15年8月富山記念の決勝では、先行の番手から最終2センターでまさかの落車。しかし、今度は巡ってきた好機を逃さなかった。別線の状況を確認した五十嵐は新山の番手から直線で追い込む。後ろから迫る山田をタイヤ差で制し、約7年ぶりの記念優勝を手にした。
「新山がすごく掛かっていましたね。もう誰も来れないと思ったけど、(山田)久徳が横まで来て良いスピードだったのでどうかなと。(15年富山記念の決勝は)2センターで、前にハスって落車してしまって。それが無ければ優勝だった。記念の決勝でこんな良い展開はない。勝てて嬉しいです」
近年は戦法をチェンジ。決勝では新山の番手をS班の諸橋に譲らず決意を示した。
「(競輪は)イメージがデカいので、そういうのもやっていかないと。ただ、(周りのイメージを)払拭するのは、(強い)メンタルが必要ですけどね」
輪界のスピード化を肌で感じながら、今後も追い込みとしての地位を確立してゆく。
「時代は変わったと感じますね。今は先行選手が強くなっている。自分はまだ脚質に両が付いているので、今後は(追に)変えたい。そして、南関地区の追い込み選手として上にいきたいです」
ライン戦が主流の競輪である限り、追い込み型の存在は欠かせない。戦い方を変えた五十嵐を加え、南関地区の層はさらに厚くなった。
山田は、あと一歩及ばず2着まで。当大会の連覇はならず。
「あの並びになったので、あとは古性が粘るか中団かなって思っていました。あんなに新山がダッシュ良く行くとは思わなかった。最後は古性が踏んでから踏もうと思って。見てから踏んだ割には伸びました。やったほうでしょ」
積極策で優勝を狙った新山は、ゴール前で踏ん張り切れず3着。
「一瞬、優勝するかなって思った。考えた通りになったけど、末が足りなかったです。今シリーズは練習不足で臨んだけど、今後は練習していけば大丈夫かな」
バックから仕掛けた井上は、まくり切れずシンガリ負け。
「まさかの後ろ攻め。最後が9着っていうのもね…。残念です。(来年は)もうちょっと自転車よりも体を煮詰めて」