神山拓が直線強襲V
ラインの絆を重んじる神山は、栃木両者の間に平原が入る並びで、ライン3番手を選択した。そして、最後は平原を交わしての優勝。関東の主軸として君臨する平原を交わしたということが、なによりも価値のある勝利だった。
「自分は自力選手あっての追い込み選手だと思っている。平原さんは自力ですごい選手だから、同県だから(番手を主張する)というのは違うと思う。自分はどうあれ3番手を回ろうと思っていた。平原さんを抜けたってことは、特別でも戦えるってこと。ああいうメンバーで1着を取れたし、練習方法も間違っていないってことだと思う」
矢野が果敢に風を切るが、野口が襲いかかり、最終2角で海老根まで出切られてしまう。すぐに千葉勢の後ろにスイッチした平原は、2センターで外を追い込む。神山は平原のさらに外を踏み込むと、鋭く伸びて15年名古屋以来、通算4度目の記念優勝を手にした。
「矢野さんも冷静に判断して駆けてくれたし、ラインのおかげです。(最終3角は)振りながらだったけど、(内を)空けたつもりはなかった。(橋本は)自分のところに来ると思って構えてたけど、そこから差し込んで行ってしまいましたね。もうあそこは(外を)踏むしかなかった。最後はすごい伸びたんで、大宮は相性がいい」
この優勝で自信を付けたが、あくまでも通過点。その先の舞台に向けて、不断の努力を続けていく。
「安定した成績を残していけば、G1優勝も見えてくると思う。心の中では(戦い方の)方向性は決まっている。ブロックとか、ヨコの動きもまだまだ甘い部分がある。そういうところをテーマにして、努力精進していきたい」
単騎の志智俊夫は最終バック8番手も、大外を伸びて2着。
「レースが早くから動いて、みんな脚力を消耗すると思っていた。だから、脚を使わないようにと。脚を使わずにはいられたけど、後方になっちゃいましたね」
3着入線の橋本は内側追い抜きで失格。繰り上がりで3着は平原。
「野口が強かった。バックでまくるような感じじゃなかった。(橋本にすくわれたが)意識してどうにかなる感じじゃない。あれありきの競輪だし、しょうがない」