荒井崇博が4度目の地元記念制覇
荒井崇博(写真)が昨年8月以来となる15度目のG3制覇を、さまざまな思いの詰まった地元の武雄で遂げた。
「15度目ですよね、この歳にしてはいいペースでしょ(笑)」
昨年、地元記念を獲った後輩、山田英明は、準決で落車に見舞われ途中欠場を余儀なくされた。地元でただひとりの優出ながらも、デビュー前からともに汗を流してきた山崎賢人が決勝のパートナー。それだけに不足はなかった。
「(山崎)賢人の後ろから(優勝できた)っていうのがうれしい。アマチュアのころから一緒に練習をしてたから。もう任せてました」
周回中から山崎ラインを追っていた松浦悠士は、レースが動いても切り替えない。松坂洋平の主導権。5番手を手に入れた山崎は、構えることなく打鐘の4角からスパート。スピードの違いで前団をのみ込むと、荒井も続くがその後ろに松浦が抜かりなく忍び寄る。直線半ばで山崎をとらえた荒井に、松浦、さらに平原康多も加わり横一線のゴール。
「わからんかったけど、抜かれたかと思った」
自身もVを確信できずにいたが、8分の1輪だけ荒井が車輪が残っていた。今シリーズは、「年に何回あるかの調子のいい開催」。そのデキをしっかりと優勝に結実させた。
「若いころはここ(地元記念)に合わせていたけど、この歳になったらたまたま。それがドンピシャだったね」
二次予選で敗れた昨年は、後輩の地元記念優勝にわき上がってくるものがあった。
「去年はヒデ(山田)が優勝して、(自分以外の)地元の選手が、決勝に乗ったところを初めて見た。一緒に自分が乗ってたんならいいけど、そこに(自分が)いないことが不思議だった。あんな悔しい思いは2度としたくない」
昨年の地元記念のあとには、平塚ダービーでバンクレコードを叩き出すパフォーマンスを披露。不惑を迎えても底を見せない荒井は、まだまだ若い。
九州コンビに照準を絞っていた松浦悠士は、直線で外に持ち出して伸びるもわずかに足りなかった。
「(山崎)賢人が絶対に(仕掛けて)行くと思ったんで、まずはそこからと思った。それで行かなければ自分でと。(ゴール前のハンドル投げは)早かったけど、ゴール線というより脚が合ったところで投げてるんでしょうがないですね」
平原康多は、松浦の踏み出しに遅れた小倉竜二に最終2角手前で当たられて大幅なタイミング修正を強いられる。それでも最後は、好スピードで前の2人に迫った。
「もうワンテンポ早く行きたかった。小倉さんのあれがきいた、時間差攻撃で…。そのぶん届かなかった。結果は伴わなかったけど、ダービー前に感覚をつかめたのは良かった」
5番手から仕掛けた山崎賢人は、荒井の地元Vに貢献も反省を忘れない。
「あそこの位置を取れたけど、荒井さんも付いているんで。あと1周だし自分でも勝負できると思った。そしたら全然、足りない。力不足ですね」