113期、宮本隼輔が記念初V
今年1月に特進でA級を卒業した宮本隼輔にとって、2度のG3経験があるものの記念は今シリーズ初めて。S級S班の3人を含めた歴戦の猛者が順当に勝ち上がっていくなかで、宮本もファイナルに進んだ。
「組み立ては、2番目に切りに行くラインに付いていって、(自分で)もう1回切って、(次のラインを受けて)3番手」
初の単騎でも、こともなくイメージ通りの組み立てを実践。近畿コンビを受けて3番手を手に入れた。肝の据わった立ち回りは、もって生まれた競走センスに裏付けされたものだ。
「イケる気はしたんで良かったです。たまたまですけどね」
最終2角手前、踏み出したタイミングもドンピシャ。逃げる古性優作をとらえるが、平原がピタリと後ろに続く。その重圧にも押しつぶされることなく、4分の3車身のリードを保ってゴールを駆け抜けた。
「(このメンバーで)勝てたのはデカい。(決勝は)しっかり位置を取って車を出せるのがわかったんで少し楽しくなりました。ただ、2日目、3日目と先行で通用しないのを痛感した。ラインの方々を連れて決勝に乗ってないんで」
初の記念シリーズだけに課題も残されてはいるが、113期では真っ先に記念を制覇した。8月14日からの名古屋オールスターでのG1デビューも決まっている。
「(清水)裕友に少し追いついたかな、そこだけですね。(同期で一番最初に記念制覇とか)関係ない。あとは父さん(宮本忠典・55期、引退)は記念を1個獲ってるんで、これで追いついた(笑)。(優勝を)1日かみ締めて、また明日から」
オールスターでドリームに選出されたS級S班の清水裕友(105期)は、同県、同学年。期は違えど一日でも早く追いつき、大舞台でのタッグを実現させたい。3月にルーキーチャンピオンを制した113期の出世頭は、抜群の加速力で輪界の階段を上がっていく。
6番手の平原康多は、最終ホーム手前から仕掛ける。トリッキーな動きで4番手にいた和田真久留をすくって、宮本のまくりを追いかける。しかしながら、ゴール勝負に持ち込むまでには至らなかった。
「後ろ攻めだったし、そこまで(宮本の後ろ)行くのに相当脚を使っていた。自分がまくって行こうと思ったら、宮本が仕掛けた。あの時点で3、4回は(脚を)使っていたんで、抜く感じじゃなかった。よく2着までいけたなっていうのがある」
古性の先行を利した村上博幸は、宮本、平原のスピードが違っただけに離れた3着が精いっぱい。
「古性も腹をくくって駆けてくれたし、自分もなんとかしたかった。でも、もうあそこは…。新鋭の宮本君が単騎で優勝して、また競輪(の流れ)がそうなっていってる。だから、自分も年齢を感じさせないように努力をしていくしかない」
注目された主導権は古性優作が握った。打鐘手前から押さえて出て風を切ったが、宮本のまくりに屈した。
「自分も楽に駆けさせてもらったし、ラインで決まるようにいった。自信をもって踏んだけど、結果的に力不足でした」