太田竜馬が14年ぶりの快挙
準決勝同様にシンプルな組み立てだった。フタをして打鐘前1コーナーで先行態勢に入った南潤に対して、7番手に下げた太田竜馬は「変に考えるより、いつもどおり行こうって作戦だった」と打鐘過ぎ4コーナーから一気に仕掛けた。2コーナーで南をとらえると、山田英明の飛びつきをしのいだ久米康平、小倉竜二まで地元3車で出切ってしまう。4番手から中を割ってきた簗田一輝の強襲をしのいだ太田が無傷の4連勝で地元記念を制した。
「信じれんですね。僕も出が悪かったんで、メチャクチャいっぱい。(小倉竜二はペースと話すが)なけなしのペースですね。いっぱいだったので簗田さんにやられたと思いつつ、いけたかなとも思いつつ」
カラーも思いどおりに仕上がった新車で臨んだ今シリーズは「ビックリするぐらい体が動く」と状態も仕上がっていた。初日特選の逃げ切りで手応えをつかむと、そこからはまくり3連発で無傷の4連勝。「実感がわかない」としながらも、地元勢としても55周年の小川圭二(68期)以来となる大会覇者となった。
これで賞金ランクも7位にランクアップ。今シリーズで見せたパフォーマンスなら、初のグランプリ出場も…と気の早い期待をしてしまうが、まずは目の前のレースに全力で挑むだけ。「強くなった延長上にある結果」を目指して一戦、一戦走りぬく。
逃げる近畿勢の後ろから徳島トリオにスイッチした簗田一輝だったが、すぐさま山田に追い上げられて内に詰まってしまう。直線では中割り鋭く伸びたものの太田には2分の1輪届かなかった。
「全然届いたとは思わなかった。内に包まれちゃったんでね。最後は(山田)英明さん、小倉さんの間か、そのひとつ内か見極めて行った。狙いにいっての2着じゃ意味がないです」
山田にからまれながらも何とか太田に続いた久米康平だったが、惜しくもワンツーはならず。
「僕も駆け出しで空いてたし、ヒデ(山田)さんか簗田が来るだろうなと思った。追いつけたけどバックで太田が流してたので突っかけて、最後は怪しいなって感じだった。抜けるときはズッポリ抜きに行くつもりだったけど、太田が優勝して良かった。太田がいて小倉さんが番手を回してくれた結果、(競輪祭の)権利ももらえたんで」
4コーナーから難しい判断を迫られた小倉竜二は惜しくも4着に。
「(最後のコース取りは)タイミングですね。外(に山田)がいたんで、中に行ったら外が伸びるので。3人で決まったかなと思ったら、簗田は脚があった。ちょっとコース取りが難しかったですね」
山田英明にとっては最終ホームが勝負のポイントだった。
「ホームですね、僕は。あそこのワンチャンスだけだった。地元だし初手からそこ(太田の番手)に行くのもと思ったし、そこで取り切れなかったのがキツかった」