アクシデントにも動じず平原康多が地元V
「運がない時は乗り上げちゃうんで。チャンスがあるうちは、あきらめないでと思いました」
予期せぬアクシデントが平原康多(写真)を襲った。赤板を待たずに前を託していた小林泰正が、和田健太郎との接触で落車。素早い動きで落車を避けると、そこから地元、西武園での3度目の記念Vを逆算して瞬時にはじき出した。
「(小林)泰正も焦って横に動く形になったけど、そういう気持ちは伝わってきた。(小林が落車して)ペースが全然上がってなかったんで、自分が引いて山賀(雅仁)さんが番手じゃ勝負権がないなと。その時の(とっさの)判断でした」
和田健が先行態勢を取ると平原は同期の山賀との併走。インでじっと勝負どころまで我慢した。和田健が最終ホームを目がけてようやくペースを上げる。平原は2角手前で山賀を弾いて番手を奪取した。
「早く(山賀を)キメて、(仕掛けて)行かないとって。それでバック線で行く形になった。(ラインの)4番手を回ってくれる人の気持ちも考えて、行かないとっていうのがありました」
番手まくりで和田健をとらえると、佐藤慎太郎に影をも踏ませぬ加速力でゴールを駆け抜けた。
「日に日に新車もなじんできて、今日(決勝)が一番良かった。どういう風に体を使ったらいいかなっていうのが、だいぶ(新車と体が)マッチしてきた」
今シリーズから投入した新車に確かな手応えを感じた平原は、9年ぶり3度目の西武園記念を制した。
「地元で期待されながら、決勝に乗れないこともあった。(昔は地元で)ひとりで負けられないってプレッシャーを感じることもあったけど、若い選手が出てきて自分だけじゃないっていうのがある。(年末のグランプリ出場も)前半はまったく見えなかったけど、中盤くらいから結果が出てきて、イケそうかなっていうのがある。(獲得)賞金とかじゃなくて、自分の動きがそうなってきた」
14日に幕を開ける名古屋オールスターへ大きな収穫となった地元V。平原の猛チャージがここから始まる。
流れ込んで2着キープの佐藤慎太郎は、地元の平原をたたえる。
「平原が冷静だった。(小林の落車があって)あれで下げるのか、下げないのか微妙なところだった。でも、山賀のデキもいいし、和田健太郎が駆けての番手まくりじゃ(平原は)キツいと思ったんでしょうね。自分は前回の決勝で失格してるんで(2着で)良かったです」
内藤秀久との併走をしのいだ和田圭が続いて、3連単まで人気の決着。
「(前の小林が)いなくなっても、平原さんだからね。自分は内藤さんにキメられそうだったし、そこを構えてました」