今年4度目の記念制覇
“ケセラセラ”。流れに身を任せた太田竜馬が、8番手からのまくりで優勝をさらった。
「(野原雅也、吉田拓矢の)どっちが先行するかわからなかった。後手を踏んでもどこかで行くだろうし、どっちにしろ僕らは待ち。(野原、吉田)2つの機動型があって、相手頼みの戦い方だった」
近畿3車を出させる形で、吉田が4番手に入って打鐘を迎える。太田は7番手。最後方にいた単騎の山中秀将がしびれを切らせて、打鐘の4角から仕掛ける。それでも太田は動じず、最終ホームではブレーキをかけて態勢を立て直した。
「緩んで自分がバックを踏んだ時に(山中が)来たので反応できなかった。あの展開だといらんことをしてもダメですから。こんな失敗は何回もしてるんで焦らないでと。変に浮かないようにと思ってた」
最終バックから踏み出したものの8番手で前は遠い。しかしながら、番手まくりで山中を合わせてそのまま上位独占を図る近畿勢を、太田がゴール前で仕留めた。
「(最初は)全然届く感じはなかった。4コーナー)くらいですかね、届くかなって思ったのは。スピードの乗りも良かったし、(4日間で)一番良かった」
2月の高松で記念を初制覇。7月には4連勝で地元の小松島を制すと、9月の岐阜に次いで、今シリーズ4度目の記念Vを飾った。
「今年ですか? ごっつい飛躍できた。記念を獲るのが第一の目標だった。それを達成できて4回も。去年からしたら、考えられない」
自身の記念Vだけではなく、3月の玉野記念の阿竹智史、松山記念の渡部哲男を優勝に導き、中四国地区躍動の大きな力となった。
「来年はG1で活躍できるように。(G1だと)自滅することが多いんで、それをなくします。決勝に乗らないと、獲ることはできない。まずは決勝。(来年は清水裕友、松浦悠士の)S級S班が2人もいるのは、中四国の強み。自分も置いていかれないように」
来年はS級S班の清水、松浦とのタッグも増えそう。それだけに中四国地区の浮沈の鍵を握る存在だが、気負うことなく余分な力を抜いている。
逃げる野原の番手の古性優作は、山中を外にけん制してから自力に転じて2着。
「(山中が)まくってきたのも見えたし、張ったら止まるかと。そしたらもう1回伸びてきたんで、出るしかなかった。難しかった」
村上義弘は、古性の判断を待って冷静に対処した。
「山中君は後ろに入ってると思ったけど、もう追いつきざまに来てたんでスピードが違った。あとは(古性が)後ろにスイッチするのかどうかだった」
太田マークの小倉竜二は、最終ホームで太田の横まで差し込んだのがすべてだろう。太田を追いかけるも5着が精いっぱい。
「太田君は(仕掛けた山中に)付いていくくらいの感じ踏んでくれたら良かったけど。自分はもう(最終)ホームでバック入れた時点で…」