清水裕友がG1初制覇
「とてもうれしいんですけど、松浦(悠士)さんの怪我が心配ですね」
7度目のG1ファイナルでたどり着いた初戴冠。昨年の競輪祭では清水裕友、松浦の並びで松浦に初タイトルをもたらした。ともに中四国地区を引っ張ってきた松浦が、直線で落車に見舞わた。清水は開口一番、松浦を気遣い、こう続ける。
「いざ(G1を)獲ってみたら、まだ実感がなくてポカーンとしている感じです(笑)」
16年に初めてS級にステージを上げたが、翌年には一度A級に陥落した。S級にカムバックしたあとは、とんとん拍子もG1デビューは一昨年2月の全日本選抜と決して早くはなかった。その清水が100期台としては、三谷竜生(101期)以来のタイトルホルダーに輝いた。
レースは松浦が最終ホーム手前で主導権を握る。叩かれた三谷も踏み続けるが、清水まで出切って、願ってもない展開が訪れた。
「郡司(浩平)さん、平原(康多)さんが行ったあとにすぐ松浦さんが行くかと思ったら、1回待ったんでドキドキしながらでした。(松浦は)行き切るとは思ったんですけど、三谷さんが粘りそうだったんで、そこは集中しました」
展開は絶好ながらもラインは2車。後ろには別線が虎視眈々。さらに5番手から山田英明がまくって出ると、清水は3コーナーから番手まくりを敢行、目いっぱい踏み上げた。
「誰が来たのかはわからなかったんですけど。誰か来たと思ったんで、待って潰れるよりかは出ていってと思った。本当に余裕はなかった。(ゴールした時は)平原さんにいかれたと思いました」
ゴール前は山田のまくりに乗って強襲した平原と、ハンドル投げの勝負。確信のゴールではなかったものの、4分3車輪と写真判定に持ち込まれることなくタイトルをつかんだ。
「正直、自分に余裕があれば、松浦さんとゴール勝負ができたかもしれないなという気持ちがある。そこを練習で磨きつつ、いろいろと模索していきたいなと思います。(昨年の競輪祭で優勝した松浦と)G1を2回続けて中国地区で獲れたっていうのは、すごくいいことだと思う。今後、松浦さんとの連係もそうですし、もっと(同地区の)ほかの人ともうまく連係を決めたい」
2年目のS級S班でG1初制覇。20年のグランプリ一番乗りを決めた25歳の若武者にとっては、まだ序章。松浦とともに中四国時代を築き上げていく。
松浦にとっては計算された三谷の動きだったのかもしれないが、平原康多にとっては大きな誤算。打鐘で三谷に押さえられ、さらには山田にも割り込まれて6番手。山田に乗って強襲するも2着までだった。
「三谷が切ってくるとは思わなかった。あの2車が余計というか、ヒデ(山田)もいて3車が…。感じは良かったんでチャンスがあると思ったけど、これが実力」
単騎の山田英明は松浦ラインの仕掛けに乗って、最終ホームでは空いた5番手に入る。真後ろの平原にも怯むことなく、バックからまくって前団に迫った。
「単騎だったので初手の位置は難しかったですけど、やっぱり松浦の3番手が理想というか魅力的ですよね。でも、考えすぎずに流れのなかでって感じでした。(まくりは)行けるかどうかじゃなくて、行ってみてどうかって感じでしたね。そこからどう着を取るか考えようと。でもダメでしたね。平原さんに抜かれてしまっては」
平原マークの佐藤慎太郎は、直線でコースを探して踏んだ。
「最後は外を踏めば良かったけど、平原が行ってる外を踏んでも届かない。松浦、清水って強い2人が並んで、すんなり逃げちゃうと(別線は)キツい。(今後)そこをどうにかしてかないと。でも、平原の後ろで負けるなら納得です」