平原康多が豪快に逃げ切る

平原康多



競輪界を代表する自在型の対戦は勝負どころで腹をくくれた平原康多に軍配があがった。「今日(最終日)は先行かもしれない」。レース前、諸橋愛に話していたとおり打鐘過ぎから駆ける展開に。前回の2月奈良記念決勝では松谷秀幸に差されたが、今度は諸橋の追撃を振り切った。
「バックでは諸橋さんの優勝だと思ったんですけどね。まさか逃げ切れてるとは思わなかった。松浦は待ってる感じだし、そこを根田(空史)にズコンと行かれると自分たちのチャンスはない。腹くくって、どこまで残れるかの力勝負だった」
試行錯誤を繰り返しながらやってきたことがようやく実を結ぼうとしている。2月全日本選抜からは「(力を)伝えたときの自転車の進み方が合ってきた」。奈良記念、今大会で見せた圧巻のパフォーマンスには確かな裏付けがある。
「去年、色々フレームとかを試行錯誤して、かなりレースで失敗してお客さんに迷惑をかけた時期もあった。去年、一昨年の失敗があって今がある。調子はずっと悪いわけじゃなかったので。今は自分の走りに納得できてる。動きたいところで動けてるので、ようやく自分がしたいような走りができてるかな」
次節は今月26日から福井競輪場で開幕するウィナーズカップ。完成形に近づこうとしている平原のGレース連覇に期待だ。
諸橋愛にとってはこの上ない好展開だったが、逆転はならず。レース後は「取りこぼした。残念」と悔しがることしきりだった。
「タイム(平原が上がり11秒3)を見て納得しました。昨日(準決勝)より早めに踏んでるのに、踏んだ瞬間にアレッ?と思った。康多が踏み直してて、逆に追いつかない。こりゃいかんと一生懸命踏んだけど、追いつかなかった。ここは取りたかったけど残念。自分が弱かった」
切って関東3番手に飛び付いた松浦悠士だったが、最終4コーナーまで中川誠一郎にへばり付かれてコースが空かず。3着流れ込みに終わってしまった。
「(初手)中団が良かったけど、スタート失敗しました。もう駆けちゃおうと思ったら平原さんが来たので。早めに誠一郎さんをドカしときたかったし、ドカすべきでした。仕掛けてないので、それがダメですね。付いてくれた2人に申し訳ない」
中川誠一郎は平原の仕掛けに口が空いてしまったのが痛かった。
「まさか(平原が)行くとは思わなかった。根田のカマシに意識が行ってたし、松浦のペースかなと思ったら平原がピュッと行った。付いていくかどうかも迷ってしまって、その分浮いてしまった。でも外で粘れたほうでしょ。最近は自分をイマイチ信じ切れてなかったけど、久しぶりに(開催を)楽しめました」
根田空史は後方のまま身動きが取れず。番手の守澤太志と8着、9着に敗れてしまった。
「平原さんに単騎組がついてたので、引くのに時間がかかってしまった。平原さんは切って(自分たちを受けて)3番手かなと思ったら切らなくて…。タイミングを取ってる間に行かれて、付いてくことができなかった。最悪ですね」