番手絶好の浅井康太が記念を連覇

浅井康太



「コンディショニングがしっかりできた開催だと思う」と、浅井康太は今シリーズを振り返る。
初日特選では野原雅也とは別線で自力勝負を選択したが「自力でダメだった」。そこから日に日に修正し、「初日よりも2日目、2日目よりも3日目と上向いてきた」ことで決勝戦は野原の番手で戦うことを決めた。
その決勝戦は打鐘過ぎから前に出た野原に対して別線の動きはなく、野原は意を決して1センターからペースを上げる。浅井は2コーナーから早々と車間を切ると渡邉雄太のまくりをけん制。直線鋭く抜け出した。
「野原には優勝を狙ってまくりでいいと言ってたし、先行はそこまで考えてなかった。ジャンで出て(誰かが来て)中団ぐらいと思ってたので、まさか先行になるとは。そこからはうまいこと車間を切って、雄太をタテの脚だけで止められた。その分、余裕を持てました。4コーナーを番手で回った時点で優勝しにいった。残しに行って抜かれても、(野原の頑張りが)無駄になるので」
主力メンバーは5月静岡ダービーが中止になったことで精神的にも肉体的にも調整が難しいシリーズになったはず。今回が44日ぶりの競走だった浅井は「競輪を少し思い出したかなって感覚。今後のGIにつなげられる」と胸を張る。新型コロナウイルスの感染者も落ち着きをみせ、ここからは開催を再開する競輪場が増えそう。「どんなとこでも勝てるのが強い選手。しっかり自分を高めて、今後もやっていきたい」。全プロ、そして高松宮記念杯へ向けて、集中力を高めていく。
2着に続いた神山拓弥は周回中から中近ラインを追った理由をこう説明する。
「野原が連日、明らかに雰囲気が違った。とりあえず何かしてくれるだろうと思って、あそこになった。あれは抜けないですね。2日目、(平原康多のまくりに)千切れてるような俺が2着だったんで、それが収穫。地元記念の決勝で確定板に入れたので良かった」
2センター、6番手から仕掛けた松浦悠士だったが、前団を飲み込むことはできなかった。
「緩んだタイミングでカマせば良かったですね。あれなら行っちゃった方が良かった。渡邉君が行くのかなとも思ったんですよ。仕掛けたときは結構いいスピードが出たけど、届かなかった。野原君もかかっていたし、浅井さんも出たので厳しいですね。500バンクって考えすぎたかもしれない。(今回は)久々のレースだったけど、問題はなかった。このあとは豊橋、久留米とあるのでひとつひとつしっかりレースをしたい」
今シリーズの動きなら記念初優勝も期待できた野原雅也だったが、浅井を後ろに置いて逃げ切ることは難しかった。
「(渡邉が)イン切りしたので、一度前に出て誰かがカマしてくれたらラッキーだなって思って待っていたけど、逃がされました。あのメンバーだし、あの距離になったら先行するしか…。ラインから優勝者を出せたのは良かった。できれば自分が優勝したかった。バックでいっぱいでした」
先に切って4番手確保からまくった渡邉雄太だったが、浅井を乗り越えることはできなかった。
「自分が切って、松浦さんが切って、野原さんの番かなって本当は思っていた。結果、中団だったので、どこかで一発行こうかなって。とりあえず仕掛けていけば、自分がダメでも堀内さんにチャンスがあるし、スピードをもらって行ってくれればと。あれ以上ためてから仕掛けるのは無理でした」
初めての記念決勝で渡邉の番手を回った堀内俊介。渡邉不発のあとも2、3着争いに加わりそうだっただけに、レース後は悔しさを隠せない。
「できれば3着に入りたかった。決勝の走りも下手くそなところがあった。ムダ脚が多かったし、最後のコースも迷いました。もっと追走をうまくなっていきたいし、まずは底力をしっかり付けたい。記念で初めての決勝は楽しかったけど、優勝も見えたから悔しい。次は優勝争いをできるように」