清水裕友が2度目のビッグ制覇
2月全日本選抜では、のちに東京五輪代表に内定した脇本雄太、新田祐大が競技に専念していたために不在。そのなかで初タイトルに輝いた清水裕友は、「(今回は)脇本さんも新田さんもいますし、高松宮記念杯で正直、勝てんやろって思ってしまったてんで、うれしいですね」。G2ながらもシリーズに2人が参戦していただけに、2度目のビッグ制覇は喜びもひとしお。全日本選抜に続いて、松浦悠士との連係から“夜王”に輝いた。
レースは押さえて先頭に立った郡司浩平がペースを握る。が、4番手の松浦が、打鐘の3コーナーで叩きに出て主導権を奪った。最終ホーム手前で絡んだ岩津裕介と内藤秀久が落車のアクシデント。落車を避けた新田はそのまま踏み上げると、驚異のスピードで中国勢に襲い掛かった。
「ジャンで中団が取れてたんで、(松浦は)そのまま溜めるかなって思った。そしたらすかさず行ってくれたんで、ありがたかったです。でも、ちょっと口が空きかけました。なんとか付いていけましたけど、ちぎれたかと思いました。(最終ホームで)誰がこけたかまではわからなかったんですけど、音がしたあと振り返った時に、新田さんが外を結構、う回しているように見えたので、来ないだろうなと思った。そしたらすごいスピードで来たんで、ちょっと対応しきれなかったですね」
佐藤慎太郎が新田を追いきれず、清水が切り替える。直線半ばで新田のスピードが鈍ると、清水が楽に交わしてゴールを駆け抜けた。
「(切り替えて)新田さんを目標に踏みました。(最後は)抜いたなっていうのはありました。今年あと約半年ですけど、こうやって下半期の頭で優勝することができたんで、しっかりと中四国で盛り上げていけるように頑張ります」
すでに年末のグランプリ出場の権利を獲得している清水は、賞金面でも松浦に迫り中国地区のS班2人が獲得賞金1、2位を独占している。
「半年後にはグランプリがあるので、そこに向けてちょっとでも自分自身レベルアップできたらなと思います」
今年も松浦とタッグで臨むグランプリ。自信を深めた清水に慢心はない。
ゴール前でわずかに末を欠いた新田祐大は、冷静にレースを振り返る。
「出切ったスピードは良かったんですけどね。(佐藤)慎太郎さんがいるかいないかはわからなかった。踏み込んで踏み込んでゴールまで全力でした。でも良くも悪くも全力だったのかなって。もっと冷静に踏めれば良かった。でも今回は調子が良かった頃のパワーの出し方、スピードの出し方ができた。今年7走目にしてやっと思い出してきた感じですね」
3着には単騎の稲川翔が強襲した。
「初手の位置は決めていなかったですけど、最終的に主導権を取るラインにって考えていました。優勝するには前に踏むしかないなって。一人で走るときのほうが強気なレースをしないといけないと思っているので。精いっぱいやりきりましたけど、スピードが全然違いましたね」