進撃続ける脇本雄
宮杯では6カ月のブランクを感じさせない走りで完全優勝を飾った脇本雄太が不動の本命だ。宮杯の初日は雨でスリップしたこともあり、巻き返しに時間がかかったが、残り3日間は逃げ切り3連発の圧勝劇。打鐘から1周半の仕掛けなら、今の脇本には負ける要素が見当たらない。今回もS班の村上博幸に村上義弘、宮杯決勝でも連係した稲川翔、稲垣裕之ら近畿の援軍は豊富。脇本の存在は頼もしいが、村上博らにとってはどうやって脇本をとらえるかがビッグ制覇の鍵となる。
宮杯決勝では脇本の逃げに巻き返し不発の8着に敗れた新田祐大だが、地元で同じ失敗は許されない。スピードなら脇本と互角以上の勝負はできる。脇本の1周タイムを考えれば位置を取っての仕掛けは必須だ。そこで心強いのが1番車、佐藤慎太郎の存在だ。狙った位置からレースを組み立てられるのは圧倒的に有利。好位から仕掛けて、今度こそ脇本を飲み込むか。1月当所記念を制した山崎芳仁に和田圭や大槻寛徳。自力では菅田壱道や新山響平もいる。北日本勢が1車でも長いラインを作れるかどうかも、勝負の明暗を分けそう。
脇本、新田不在の競輪界を席巻していたのは松浦悠士、清水裕友の中国コンビだ。グランプリこそまくり不発に終わったが、昨年11月の競輪祭から2月全日本選抜、3月ウィナーズカップと、ビッグレースをこの2人で立て続けに制している。宮杯決勝では松浦がホームから巻き返して脇本に迫ったが3着まで。今回はしっかりと清水も勝ち上がって、脇本、新田と勝負したい。地区内あっせんならともかく、ビッグレースでは中国、四国がライン。原田研太朗、岩津裕介らで総力を結集して序盤の流れを引き戻したい。
高い個の能力を持つ平原康多、郡司浩平の存在も忘れてはならない。平原は5月宇都宮記念の落車があったが、全プロ記念、宮杯と走るたびに調子を戻している印象だ。宮杯決勝で脇本の強さを肌で感じた平原が、ここまでにどう対策を練ってくるのかにも注目が集まる。関東勢には吉澤純平、吉田拓矢に鈴木竜士と若手機動型が多い。平原にとっては前を任せる機動型が豊富だし、差し脚好調な諸橋愛にとっても条件は同じだ。
5月があっせん停止だった郡司は、復帰戦となった宮杯で2勝を挙げた。この1カ月は後半戦に向けた貴重な準備期間になったはずだし、宮杯を1走したことでレースでの感覚もつかめたはず。昨年大会準優勝の渡邉雄太に、キメ脚鋭い和田健太郎も優勝争いに加わる力がある。
今年早くも記念3Vと浅井康太は完全復活を遂げた。中部勢は他地区に比べて参加メンバーは少数だが、深谷知広に吉田敏洋、柴崎淳と実力者はそろっている。深谷が持ち前のパワーを発揮なら、少数でも侮れない勢力となる。九州勢では中川誠一郎、山田英明が意地の一発を見せる。