原田研太朗が地元記念初優勝
S班でさえ「なす術がない」と口をそろえたハイスピードバトル。島川将貴が打鐘過ぎ2センターからピッチを上げると、河端朋之の巻き返しに合わせて太田竜馬が2コーナーから番手まくりに出る。続いた原田研太朗が太田をとらえて地元記念初優勝。2017年3月の松山以来、4度目となる記念優勝を飾った。
「島川君がやる気でしたね。えげつないかかりで前でドリフトしていた。(太田が番手から出たあとは)早めに行こうと思ったけど、太田が相当踏み直してた。でも僕が早めに踏まんと小倉さんのコースがなくなるので。前だけを見て余裕はなかったけど、ハコじゃない分の余裕はありました」
2012年7月のS級デビューから呼ばれ続けていた地元記念だったが、昨年はあっせんがなかった。それだけにこの優勝は格別だ。
「小松島記念がS級のデビュー戦で、それ以来ずっと呼んでもらっていたけど、去年はあっせんがなくて悔しかった。一人で練習をしていてごっつ寂しくて、それが頑張れるきっかけになった。今年はチャンスがあれば狙いたいと思ってました。去年は目の前で太田君が完全優勝をしてうれしかったし、今年もと思っていた」
残念だったのは無観客開催だったこと。これだけのスピードレースを地元ファンの目の前で見せたかったはずだ。
「無観客は無言でさみしい。僕は気持ちで走るタイプなので。小松島はこれで今年最後の開催。リニューアルしたあとにはお客さんを入れて欲しいですね」
再開後は原田がファンの大声援を受けて地元バンクを疾走する。
太田竜馬の大会連覇はならず。それでも初の番手回り、しかも4車の軸という大事な役割を務め上げた。
「点数ないのに番手を回らせてもらったし、並び的に原田さんの優勝かなと思ってた。頑張ったっすけど、後ろに差されるのはしゃーないですね。ペースで行ったら終わりなんで、全開で(番手まくりに)行きました。島川さんのおかげですね。(初の番手は)後ろもおるんでヘマできんから緊張しました」
4コーナーで置いていかれそうになった小倉竜二だったが、なんとか3着に踏みとどまった。
「スピード競輪やね。まくりの太田のその上を研太朗がまくって行く感じだった。(原田の)2センターからのまくり追い込みでもう一段階スピードが上がって、そこに対応できなかった。(4着になりそうで)最後はちょっと危なかったですね」
徳島勢上位独占の結果は島川将貴の頑張りがあってこそだ。
「やることはできました。初めての決勝だし、点数とか関係なく僕が実績が一番ないんで。河端さんがいつ来るか怖かったけど、後ろの3人がワンツースリーなら最高ですね」
1周21秒6、上がり10秒5で後方に置かれては、さすがの清水裕友でも出番はなかった。
「厳しいですね。相手がその気だと、どうしようもなかった。練習みたいな感じで、ええスピードを体験できました。もっと鍛えろということでしょう」
7着に敗れた河端朋之は「もがき合うか、まくりか、どっちかしかなかった。力負けですね。太田の横までも行けなかった。行ければ後ろにチャンスがあったけど」と悔しそうにレースを振り返った。