岩本俊介が2度目の記念優勝
村上博幸の飛び出しが早く、「スタートを取るはずだったけど」と話す岩本俊介は3番手からの組み立て。しかし、後ろ攻めとなった単騎の3選手が動かなかったことで、レースは想定外の流れになる。前受けの山田久徳が腹をくくって打鐘過ぎ2センターからペースを上げると、すんなり3番手の岩本は1センターからのまくりで前団を飲み込んだ。
「本当はスタートを取って、山田君が押さえたら引くところまで引いてダメでも一気に仕掛ける作戦だった。それが、まさかあの位置で回って来るとは思わなかったので。普段、先行してるので、サラ脚だといつもよりだいぶ楽でした」
村上も2コーナーで必死のブロックを見せたが、「当たったけど、こんなんじゃ負けないぞって強い気持ちで踏みました」と話す岩本の気合い勝ち。後続がもつれたため、2センターで出切った岩本に迫る者は誰もいなかった。
同県、同級生の鈴木裕との連係も岩本にとっては心強かった。
「初日、2日目とリズムがつかめてなかった。タイミングは(鈴木にアドバイスされた)そのとおりに走った感じ。同級生だし、心を開いてダメでも自分の好きなようにやらせてもらった結果なんでうれしい」
2011年9月の初優勝から9年近くかかって勝ち取った2度目の記念優勝に、「練習仲間の中村(浩士)さん、妻も食事やマッサージを勉強してくれて、周りの支えで優勝できた」。ここまで支えてくれた人たちへの感謝を忘れなかった。次走は9月18日から伊東競輪場で開催される共同通信社杯。「これからは南関の力になれるような自力選手として頑張りたい」と話す岩本がムード最高潮で南関地区のビッグレースに挑む。
初手で南関ラインの後ろになった平原康多にとってはいいポジションでもあり、動きづらい位置でもあった。バックから内に切り込み、村上を飛ばして抜け出したが2着までが精いっぱいだった。
「岩本も含め、後ろになった人はけん制になっちゃいますよね。単騎で行くって難しいし、岩本が3番手だし動きたくなかった。チャンスがある位置ですからね。最後もコースがなくて難しかったです」
最後方の深谷知広は2コーナーまくりで大外を迫ったが、さすがに前が遠すぎた。
「前にあの2人(平原と清水裕友)がいたらなかなか(動けない)…。あの2人ならどこかで動くだろうなと思ったし、行けるタイミングを見て。(清水のホームまくり)あそこがもうちょっと早いタイミングだったらチャンスがあった。でも自分で行ける勇気があれば問題なかったですね」
前受けの山田久徳はまさかの逃がされる展開になってしまった。
「前からのほうが面白いかなと思ったけど、僕には向いてないレースだった。1周半なら深谷が来るかなと思ったけど、あんだけ動かないとは…。けっこう我慢したけど、しょうがないですね。面白くないレースになってしまいました」