新田祐大が3年4カ月ぶりの記念V
打鐘前2コーナーで誘導員を下ろした新山響平を打鐘から高橋晋也が叩いた時点で大勢は決していた。「(組み立ては)バッチリあのまんま。ベストはあれです。全てが想定通りでした」と話す新田祐大は最終ホームから車間を切って別線の反撃に備えると、新山響平の巻き返しに合わせてバックから番手まくり。佐藤慎太郎の追撃を許さず押し切った。
「最終バックでもうちょっと何とかできたら良かったなというのはある。(福島)3人でゴール前争いするレースができれば良かったけど。そこが難しいところだけど、後ろに慎太郎さんもいるので、心を鬼にして前に踏み込ませてもらいました。慎太郎さんはピッタリ付いてきてたし、あとは抜かれてもどちらかが優勝。とりあえずゴール線まで全力で行こうと思ってました」
これが3年ぶりの記念参戦。「なかなかこういう機会は貴重で、いい経験になりました」。ナショナルチームの活動で国内の競輪を走る機会が少なかった新田にとっては記念優勝も2017年5月函館以来、3年4か月ぶりだ。
「G1を獲るしかグランプリ出場はないと思ってるし、このあっせんが入ってから目標に掲げたことは達成できてる。寛仁親王牌を戦うための目標をクリアできたっていうのは、いい状態で迎えられるのかな。伊東(共同通信社杯)からあるテーマを掲げて取り組んでる。それを思った以上にクリアできてるので寛仁親王牌が楽しみです」
次走の寛仁親王牌(10月15日から)でも新田はハイレベルな走りを見せてくれそうだ。
新田のスピードの前に続いた佐藤慎太郎はわずかに差し込むのが精いっぱいだった。
「すごい初速。(新田は)全開に見えてペースで行ってるから、あれは差せないわ。差したかったな…。でも言えないな、ちょっとしか差し込んでないんで。晋也が頑張ってくれて、レース運びも上手でした。響平と別線で心苦しかったけど、今回は仕方ないね」
打鐘過ぎに福島ラインにスイッチしようとした松浦悠士だったが、守澤太志に阻まれ6番手に。立て直して直線伸びたが、前の2人は遠かった。
「あのタイミングだったら(新山は)すんなり出させないかなと思ったら出させたので追い上げようとしたところで守澤さんに持って来られた。けっこう踏み込んでたので、あそこで終わった感じですね。今日が一番良かったけど、あれで終わりました。良く3着まで来れたなと自分でも思います。もうちょっと何とかしたかったですね」
地元記念連覇を狙った新山響平だったが、2段駆けの福島ラインの前に完敗だった。
「全然力が足りなかった。勝負にならなかったです。外した瞬間に出られないなと思って戻ったけど、もう守澤さんも内に来てたので。北日本がたくさん決勝に乗ったし、いい開催でした。ダメでしたけど、(北日本で別線勝負できて)面白かったです」