今年早くも2度目の記念V
「過去、何回獲ったか覚えてない。いまを一生懸命やっているんで」
西武園の3回を加えると、これが11回目の地元記念V。偉業を更新し続ける平原康多に地元への愛着はあっても、ファンの期待に応える走りはどこの競輪場でも変わらない。
「本当に毎年、一戦、一戦手を抜いてない。そうやって勝負をして、その結果、年末の大舞台(グランプリ)に立てていれば」
立川に続いて早くもこれが今年2度目の記念優勝。立川の決勝では連係した鈴木庸之が車体故障で自力に転じてV。今シリーズの決勝は地元の後輩、森田優弥とのタッグだった。
「森田はレースがうまい方だし、ヨコの動きも上手。“競輪”をしてくれる選手だから、全面的に信頼して付いている」
その森田が打鐘の2センターからダッシュを利かせて踏み込んで主導権。後位を固めた佐藤慎太郎まで出切って、平原にとっては絶好の流れになった。が、清水裕友がさすがの加速力で襲い掛かってきた。
「森田はそんなに簡単にいかれるスピードじゃなかった。でも、やっぱり清水は違いましたね。さばいてるヒマがなかった。そこの判断をちょっとでもちゅうちょすると両極端(の結果)になる。それが今回はいい方に出た」
最終バック過ぎに番手まくりの選択をとった平原が、清水を合わせ切って直線に入る。佐藤が迫ったものの、着差以上に危なげない勝利だった。
「年末(のグランプリ)でワッキー(脇本雄太)と(ラインを組んで)走って、すごく考えさせられるところがあった。それがいい方に出ているんだと思います。まずは(2月に)全日本選抜があるんで、そこに向けて仕上げていきたい」
9年連続12回目のグランプリ出場に、これ以上ない21年のスタートを切った平原。その存在感は、衰えるどころか増すばかりだ。
「今日が一番、感じが良かった」と、振り返った佐藤慎太郎が、平原に続いて2着。半車輪まで詰めたものの優勝は遠かった。
「平原は(清水)裕友を合わせてからも、だいぶ余裕がある感じだった。俺が抜きにいったのも合わせている感じだったので、あれを抜くっていうのは…」
森田の仕掛けに俊敏な反応で4番手に追い上げた鈴木庸之は、最終2センターで合志正臣とからんで3着まで。
「(4番手に)入ってからも余裕もあった。清水が行っちゃうかなと思った。行ってくれればスイッチしてと。前回(立川の決勝)は車体故障で踏み切れなかったんで、(この決勝で)SSの人たちと戦えるのもわかったんで良かった」