地元ファンの前でエース松浦悠が躍動
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、S班として地元バンクを走る勇姿をファンに直接見せることができたのは今シリーズが初めて。松浦悠士にとって、喜びもひとしおの優勝となった。
「準決勝よりも声援が凄かったですね。お客さんもいっぱい入っていましたし。玉野記念も全プロも完全優勝はできなかったので、4日間1着を取れたので嬉しいですね。みんなに見に来てもらっていますし。バンク内で表彰式もないですし、その分も優勝したら(ウイニングランで)1周多く回ろうと思っていました」
地元の絶対的なエースとして自身が優勝することはもちろん、ラインで決めたい気持ちが強かっただけに道中で連結を外してしまった池田良と三登誉哲を気遣う。
「町田君も前を取って突っ張りたかったと思いますし、みんなで決めるにはその方が良かったと思うんですけど、引いたので。野原君が来なかったら叩けると思ったんですけど、挟まれる感じになってしまったので、池田さんと三登さんには厳しい状況というか難しくなりましたよね。町田君も失敗を糧にしていってもらえれば」
絶対的有利なライン4車から道中でライン2車に。スキを見せれば牙を剥いてくる相手にも冷静に対応して見事に町田とワンツー決着。
「後ろに阿部さんが入ったのが分かったのでギリギリまで待たないと中を割られたりしても嫌なので。最後はハンドル投げで差せるようにと思いました」
8月松戸記念以来、通算13回目の記念優勝。今年はこれで10Vと年末のグランプリに向けて弾みを付けた。
「優勝回数だけなら過去一番だと思いますよ。勝利数なら一昨年が一番だったと思いますけどね。グランプリで11回目の優勝ができれば。(清水)裕友とワンツーなら最高ですね。今回の前までにきつめに練習をしていたので、しっかり整えてさらに上向きに持って行ければ。今回の直前も裕友と練習しましたし、グランプリまでにあと1、2回一緒に練習できればと思っています」
ゴール寸前でわずかに交わされた*町田太我が準V。地元記念制覇は来年以降にお預けとなったが、2年連続で決勝の舞台に立ってファンの声援に応えようと全力を尽くした。
「最後は夢しか見なかったです。悔しいですけど、松浦さんが強かったです。去年は無観客でしたし、大声援を貰えたので。みんなが地元3割増しって言う理由が分かった気がします」
ライン4車で決められなかった悔しさはもちろんで、レースの反省も忘れていない。
「今日はもう前を取って突っ張ろうと思ったんですけど、阿部さんがうまかったし自分がへたくそでした。でも3番手をゲッチュできたと思ったんですけどね…。追い上げに来られて慌ててしまいました」
年末はヤンググランプリが控えている。地元記念が終わったからと気持ちは緩められない。
「まだヤンググランプリがあるので気持ちを切らさないように。ベーストレーニングを中心にさらに地脚の強化をしてヤンググランプリは先行逃げ切りができるように頑張りたいですね」
俊敏な立ち回りで3着に入った*阿部拓真はG3で初の確定板入り。青森記念から3連続でG3の決勝に勝ち進み、積み重ねてきた経験を糧に強敵に立ち向かった。
「スタートでみんな出て行ったし、後ろからになりましたね。まずは突っ張られないように町田君を切ることだけ考えていた。町田君が引くと思ったら野原君と併走にするような感じだったし、中団を取らないとと思って踏みました。予想外の展開の中で要所、要所で巧く対応できたとは思う。でもこの3着は納得できるものではないしまだまだですね。本来なら3番手に飛び付いてまくらないといけないし、町田君が強過ぎて全く動けなかったです」