3連覇、9度目の大宮記念制覇
やっぱり今年も平原康多だった。9年連続となるS級S班として22年のスタートを切ったものの、初場所の立川記念で落車に見舞われてた。決して万全ではないなかでの地元シリーズだったが、4連勝で重責を全うした。
「(落車の怪我の影響は)やっぱりありました。その分気持ちが入ったところもあるし、プラスマイナスで言えばプラスだったと思います」
初日特選では番手まくりの宿口陽一が山田庸平にかぶると、瞬時の判断で自ら踏み込んだ。二次予選では、前を託した森田優弥が車体故障で棄権。中団で立て直して直線で突き抜けた。「(二次予選の)試練を乗り越えられたのがすべてです。(3連勝での優出は)たまたま。仲間に助けられている」と、準決後は振り返った。決勝は同県の後輩3人との信頼のライン。初日特選同様に新S班の宿口に番手を任せて、平原は3番手を回った。
「(黒沢征治は)前だったら出させないっていう感じでした。ただ、ジャンからあそこまで全開とは思ってなくて、自分でもパニクってました」
前団に構えた地元勢。黒沢が深谷知広を打鐘で突っ張り、別線に主導権を譲ることなくペースを上げる。単騎の成田和也が5番手に続いたが、6番手の山田庸平、8番手に下げた深谷は黒沢の加速力に大きく立ち遅れた。初日と同じ轍は踏めない宿口は、別線の反撃を待たずに最終2コーナーから番手まくり。スピードの緩まない前団に九州、南関勢に勝負権はない。優勝は地元3車と成田に絞られた。
「(6番手以降が離れてたのは)わからなかった。誰かが仕掛けたら、なにかしないとって。そこまでの(黒沢と宿口の)頑張りを僕と(武藤)龍生がムダにしちゃいけない」
4コーナー手前から成田が追い込むと、平原が抜かりなく踏み込んで成田を突き放してゴールした。
「前回の落車から絶好調ではなく入ってきたので、完全優勝で終われるなんで信じられない気持ちです」
9度目の大宮記念制覇、西武園記念を合わせると通算12回目の地元記念V。言わずもがなだが、地元では無類の強さを誇り、ファンにも絶大な信頼を得ている。
「地元ファンの応援で地元の選手が4人勝ち上がれて、決勝でこういう走りができた。(次は)静岡もあるので正直、ゆっくりする時間はないと思います。ヨシタク(吉田拓矢)は怪我をしているので、その分も自分が援護できるように調子を整えたい」
自身が途中欠場となった立川記念では吉田が優勝。そして今シリーズは落車で欠場を余儀なくされた吉田の分までと地元勢が奮闘して関東の牙城を守った。平原は次回、2月3日からの静岡記念を経て、取手での今年最初のG1、全日本選抜に臨む。関東勢は、今年も平原を中心にまわっていく。
地元勢の後ろにいた単騎の成田和也は、息をひそめて追い込み勝負。直線で伸びたものの2着まで。
「(前の)掛かりがすごかった。黒沢君も掛かってたし、宿口君もすかさず出ていった。後ろはどうなっているかわからなかった。(最終)バックで1回詰まったんで、そこで行こうと思ったんですけど。たぶん、武藤君は内を外せないだろうから、頑張って踏めばと」
地元4番手の武藤龍生は、成田の内のコースを封じて3着。
「(宿口)陽一さんも初日の失敗をしないように仕掛けてくれた。平原さんは余裕たっぷりでした。ただ、自分が空けたことによって(成田が内に)入ってきて、平原さんのタイミングがズレたら嫌だった。(前の)3人が頑張ってくれたので、2着までに入りたかった」