原田研が完全Vで12連勝
だれもこの勢いを止められない。原田研太朗が破竹の12連勝を決めて、豊橋記念を完全制覇した。
取鳥雄吾-清水裕友-原田研太朗-中本匠栄の4車ラインで挑んだ決勝戦。郡司浩平ラインが前受けし、取鳥ラインは中団、吉田敏洋が後方に陣取った。吉田が赤板で切りにいくと、郡司がこれを突っ張った。
「初手は郡司君が前なら中団、吉田さん達が出るなら前からって考えていました。(郡司の突っ張りは)想定内でした。みんなが脚を使ってくれて、自分達がジャン(打鐘)で出切る方法を考えたら、あの感じになりましたね」
吉田が踏みやめたタイミングで、間髪入れずに取鳥がカマシを放つ。合わせて踏み込む郡司を一気に叩き切り、最終ホームではライン4車できれいに出切った。
「吉田さんがすぐには踏みやめなくて、ペースが上がったところを取鳥君が思い切って仕掛けてくれた。4車で出切れるようにいってくれた。その気持ちが嬉しかったです」
中団に入り直した郡司が、最終バックからまくりを放つ。取鳥と車間を空けていた清水は、車間を詰める勢いで番手まくりを放つ。郡司は外に浮き気味で、直線は中四国両者の争いに見えたが、それでもまだ原田は気が抜けなかった。
「(清水を)抜くとか抜かないよりも、なるべく内めを走っていました。内に誰か来ると思っていたので。最後まで接戦でしたし、抜けると思わなかった」
ギリギリまで待った原田は、直線に入ってから清水の外を踏み込む。ゴール寸前で清水を2分の1車輪交わして、20年7月小松島以来5回目のG3制覇を完全Vで成し遂げた。ゴール後は原田にしては珍しくガッツポーズも飛び出した。
「ゴール後に叫んじゃって恥ずかしかった。でも、それぐらい嬉しかったんですよね。前の若い2人の力と、後ろを固めてくれた中本さんのおかげで優勝できたことが嬉しかった。やっぱり、単騎で勝つよりも、ラインで勝つ方が僕は嬉しいです」
ラインでつかんだ勝利。まだまだ自力の破壊力は衰えていないが、若手の後ろを回ることも増えてきた。だからこそ、レース後の反省も忘れない。
「裕友が番手まくりにいったときに、中本さんと後輪がハウスしてしまった。自分の課題ですね。その辺は練習からやった方がいいと言われるんですけど、実戦に優るものは無いと思っています。どれだけ経験を積めるかですね。次はもっと援護できるようになりたい」
2月には今年初めてのG1、全日本選抜競輪も控えている。勢いに乗った今の原田なら、待ちに待ったタイトル初戴冠も夢じゃない。
「この後は久々に空くので、しっかり体調を壊さずにできるだけトレーニングをしたい。まだ全日本選抜まで1カ月あるし、その間に上位は仕上げてくる。予選スタートなので、しっかり準備したい」
そしてこれで12月防府から4場所連続優勝。防府の準決勝から12個の白星を連ねた。S級で、しかも記念を含めての連勝とあって、並大抵ではない。その胸の内を、原田らしく素直にこう明かした。
「正直、気持ち的にしんどいですよ(笑)。プレッシャーもあるので。周りにも結構いじられるんですよね。でも、いじられる内が華だと思う」
プレッシャーを力に変えるだけの技量が原田にはある。一体どこまで連勝街道を突き進むのか。競輪ファンの注目を一身に集めて、原田はこの先も突っ走る。
最終バックから番手まくりに出た清水裕友が2着。
「東が前なら中団からって感じで、吉田さん達よりも前からって考えていました。なるべく相手に脚を使わせてって感じで。飛び付かれてしまったら自分たちの仕事にならないのでそこはしっかり。取鳥君のスピードが良かったので出切れましたね。車間を空けて見てましたけどバックくらいできつそうだったので出て行きました。最後は差されましたけど、自分の中では踏めていたので。でも原田さんが勝ったのは嬉しいですね。原田さんは不調の時もありましたけど、こうやって3番手を固めてくれましたし。中本さんも4番手を固めてくれたのも大きかったですね」
郡司の勢いが鈍ると、マークした佐藤慎太郎はその内を踏んで3着入線。
「郡司君がしっかり突っ張ってくれて踏んでくれましたけど、相手も二段駆けの感じでしたし。ちょっとジャン過ぎに後輪が滑っていましたね。もう自分は内というかあのコースしかなかったですよね。雨で視界も悪かったですし。清水君と原田君の間を行ければ、2着、1着の勝負ができたかもしれないですけど、雨も降っていましたから難しかったですね」