• 玉野競輪場開設71周年記念瀬戸の王子杯争奪戦3/26〜3/29

後記 GⅢ 玉野 03/26

300勝のメモリアルV

脇本雄太

脇本雄太

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 過度の疲労からくる腸骨の骨折により、およそ4カ月の戦線離脱を余儀なくされていた。復帰後は自身も満足がいかない中で勝ち星を量産。圧巻のパフォーマンスを見せていたが、ここまでの3場所は、大宮F1の優勝のみ。2月の奈良記念、前回のウィナーズカップはともに、中四国勢の2段駆けに屈していた。三度目の正直。それだけに脇本雄太も、思うところがあっただろう。
 「(先行した山根将太は)まくりに構えようかっていうスピードだった。迷いどころだった。けど、まくりに構えると、二の舞、三の舞になる。後悔するくらいなら行きたいなって」
 奈良では8番手、ウィナーズカップでは、7番手に置かれて見せ場なく敗れていた。そのシーンを拭い去るように、脇本が打鐘の3コーナー過ぎから目いっぱい踏み込んだ。
 「正直、出切れるとは思ってなかった。それくらいリスクのある仕掛けだったし、紙一重だった。自分のなかではギリギリでした」
最終ホームで逃げる山根を視界にとらえると、けん制して番手から発進した松浦悠士を驚異の加速力でのみ込む。付けた佐藤慎太郎がバックで遅れて、松浦でさえ1車身差で流れ込むのがやっとだった。
 「次の(大きいレースの)ダービーにつながるレースがしっかりとできたかなと。この感触を忘れずに。多少、得られたものもあったし、これに満足をせずに上積みをって思ってます」
通算9回目のG3制覇で、08年7月のデビューから区切りの通算300勝を飾った。
 「(同じく300勝にリーチをかけていた松浦と)300勝対決っていう変な意識はあったけど、レースに入ったら感じなかった。達成できたけど、今後も油断をしないで。(300個の勝利は)1勝、1勝が得られたものです」
 5度にわたりタイトルを獲得。33歳になったばかりの脇本にとっては、300勝も通過点でしかない。次元の違う走りのその先に。脇本だけが見える世界がある。

 最終1コーナーで外にけん制した松浦悠士は、2コーナーから番手まくりに出たが脇本を合わせ切ることはできなかった。
 「奈良、ウィナーズカップと同じような競走になってるし、(脇本も)失敗しないようにきますよね。山根も掛かってたし、これで来るかっていう感じだった。吉田(拓矢)君の横とかから、じわじわ来るイメージだったけど、サッと来られてしまった。自分は(一昨年の)オールスターみたいにヨコが使えてなかった。しっかりと体で止めないといけなかった」

 脇本を目標に最終2コーナーからまくった吉田拓矢は3着まで。
 「(佐藤)慎太郎さんのところにスイッチできれば良かったけど、そんなスピードでもなかった。(今シリーズは)体もキツかったし、このあとはもう1回セッティングとかを練り直して、(次回に)いいパフォーマンスが出せるようにしたい」

Race Playback

レース展開4
 ロングまくりで別線を仕留めた脇本雄太選手が、9度目のG3制覇。番手まくりで応戦した松浦悠士選手は2着。3着に吉田拓矢選手。

レース経過

誘導員 : 近藤修康

 見合ったスタートから大外枠の和田圭が前に出た。脇本雄太-佐藤慎太郎-和田の即席ラインが前を固める。中団は山根将太-松浦悠士-柏野智典の中国勢が占め、単騎の松岡辰泰がこれに続く。吉田拓矢-志村太賀の関東勢は後方に待機。 青板周回のバックから吉田がゆっくりと踏み上げると、脇本は誘導員との車間を空けはじめる。脇本はかなりペースダウンしたため、誘導員とは大きく車間が空き、赤板前の4コーナーで吉田-志村が脇本の前に出た。さらに5車身ほど車間が空き、山根は脇本の動きを警戒しながら3番手に上がった。1センターで山根は猛ダッシュ。吉田も踏み込むがスピードが違いすぎた。ジャンでは山根-松浦-柏野の中国勢に松岡まで前に出て、吉田は5番手、脇本は7番手となった。3コーナーで脇本がスパート。山根は全開でふかしていたが、脇本は異次元のスピードで前団に襲い掛かる。佐藤はきっちり続くも3番手の和田は離れた。脇本は最終ホームで松浦の後ろ辺りまで接近し、さらに先頭に迫ると、松浦は1コーナーで脇本にけん制を入れたが、止められないと判断し2コーナーから番手まくりを敢行。最終バック線で脇本は松浦を飲み込んだが、佐藤はじわじわと離れてしまい脇本の後ろには松浦が入った。懸命に差を詰める松浦を1車身振り切った脇本が圧勝。2着の松浦から4車身離れた3着にはバックからまくり上げていた吉田が入った。

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