S班2人の同着優勝
「内容もそうですけど、一番に求められるのは結果。優勝だけを目指してきたし、(地元で)応援してくれる人たちもたくさんいる。今年は平塚もあったし、桜花賞は毎年この時期なんで、自然と気持ちも上がってくる。恩返しができたんじゃないかと。そのことがうれしいですね」
郡司浩平にとっては、平塚から中2日での地元記念の連続開催。平塚記念では優出も決勝はシンガリに沈んでいただけに、ホームバンクの今シリーズは並々ならぬ思いだっただろう。19年の2度目の桜花賞優勝から、21年ここでの全日本選抜制覇を挟んで川崎記念3連覇を遂げた。
周回中は6番手にポジションを取ったが、思惑通りではなかった。そこから赤板過ぎに先に切って出て、中団が併走にはなったが結果的には後方に置かれた。
「スタートも思ってるのと違って、出遅れました。そこは想定してなかった。道中で考えて、どうしよかなと。1回動いて、もう1回動ければと思ったけど、反応ができなかった」
小森貴大が逃げて、3番手が吉田拓矢(イン)と松浦悠士で併走。松浦ラインに続いていた単騎の守澤太志にかぶった郡司は、落ち着いて最終ホーム過ぎに下げた。
「併走になった時点で普通は内側のラインに付いていくんですけど、外が松浦だったんで簡単には飛ばないだろうって。早めに立て直していこうと思った。ただ、守澤さんが気になって、引き切るのが遅くなった。そのタイミングのズレが、(ゴールで)届くか届かないかになってしまった」
郡司が最終2コーナーから仕掛けると、松浦、それに呼応するように東口善朋が番手発進。まくり合戦になった。直線半ばで東口、松浦、郡司の3車が重なり、東口はわずかに失速。松浦と郡司が同時にハンドルを投げたところがゴールだった。
「最後はなんとか届いたけど、スッキリした終わり方ではなかった。松谷(秀幸)さんにもチャンスある仕掛けができれば。そこはしっかりと反省したい」
前回の平塚で通算300勝のメモリアルを遂げた郡司の303勝目と、今シリーズに区切りの300勝を飾った松浦の302勝目。地区は違えど同じ90年生まれで輪界をけん引するS班による同着優勝は、桜花賞の語り草になりそうだ。
「負けているところからの勝ちだったんで、めちゃくちゃうれしいです」とは、郡司と優勝を分け合った松浦悠士。吉田との3番手併走から番手まくりの東口をとらえて、同着に持ち込んだ。
「(同着優勝は)僕はないけど、郡司君は2回目みたいですね。小森さんがすごくヤル気だったんで、付いていって3番手に入れればラッキーかなと。そうじゃなくても、外併走からでもまくろろうと。脚がたまらなかったし、あんまりうまく併走している感じもなかった。(自分が仕掛けて)東口さんの番手まくりで戻り切れなっかったけど、回している感じだった。今日(最終日)セッティングをいじったのが、かなり良くて、それがなかったら優勝できてなかったかなと」
今年2度目のG3優勝で勢いを加速させた松浦。次回の武雄記念で連覇がかかるダービーに弾みをつけたい。