脇本雄が豪快に9番手まくり
今年のダービー王・脇本雄太がまたもや松戸の燦燦バンクを熱狂の渦に巻き込んだ。「あの時のダービーかと思うくらいの大声援だったし、展開もそれに近かったので思い出しました。声援が大きくてうれしかった」。令和元年に行われた松戸の日本選手権競輪では完全Vの偉業を達成。今回も4日間異次元の走りで圧倒し、パーフェクトの優勝。決勝では単騎9番手からの豪快なまくりにファンの興奮も最高潮に達していた。
「(初手は)中団が良かったけど、みんなSが早い。9番手だったけど、慌てずに自分が仕掛けたいところから行こうと。菊池君の煽りや、自分の行きたいタイミングのところで真崎さんの離れたのも見えた。それは仕方ないなって。最後の最後まで(1着の)自信がなくてハンドルを投げたところで届いたと」
レースでは常に包囲網を敷かれる存在。決勝でも一番後ろからの巻き返しになったが、動じることなく自分の力を信じて仕掛けた。
「(開催中は)日に日に(体が)重たくなっていたので、不安だったが、ラスト1回。気持ちだけで走った。展開を作ることは下手だったけど、力ずくでいった。苦しい展開だったけど、なんとか届いて良かったと思う」
東京五輪まではナショナルチームの活動で年間に出走する本数は限られていたが、今年からは競走間隔、調整面など、ここ数年経験したことのない未知の領域に踏み込んでいる。今後もファンの期待に応える走りを求めて全力疾走が見られそうだ。
4日間のシリーズを通して主導権を握った高橋晋也。「30メートルラインでは獲ったと思った」と脇本を苦しめたが、悔しい2着となった。「今までの自分なら2着でやったーだけど、今回は悔しい」。
「いろいろと考えたが、結果、いい形になった。連日に比べると距離が短いし、残れると思ったが、脇本さんとの力の差が大きかった。ただ脇本さんを苦しめられたのは自信になった。前回の川崎では脇本さんの相手にならなかったが、今回は苦しめようと思っていた。脇本さんは先行屋、自力屋として憧れの選手。今開催はすごいい収穫の多い開催だった。またイチからやり直します」と、今後の活躍に期待が膨らむ形でシリーズを終えた。
高橋晋也に続いた*阿部拓真。昨年12月の広島以来でG3の決勝に進出。前回と同様に3着という結果だったが、自身が感じたことはまた違ったもののようだ。「菊池君が構えてくれた分、いい展開になりましたね。高橋君に踏み出しで口が空いて、余裕はなかった。脇本さんを止めるのは難しかったですね。大きく外に振れば、脇本さんが膨らむとは思ったけど、技量不足です。悔しい3着ですね。番手絶好だったので、脚があれば、先着できたと思うし、高橋君も差せたと思う。まだまだ力も技も足りない。脇本さんとはなかなか戦えないし、高橋君と脇本さんのスピードを体感できたのは良かった」