脇本雄の豪脚が炸裂
自転車競技では20年に世界選手権のケイリンで銀メダルを獲得するなど、世界の舞台で大活躍した脇本雄太。さすがにワールドクラスの脚力は桁違いで、トップスピード、ダッシュ力、航続距離のどれをとっても素晴らしいレベルだ。本業の競輪でも豪脚を遺憾なく発揮していて、平ダービー着では、眞杉匠率いる東日本ラインを豪快な仕掛けでねじ伏せ、ダービー2V目を達成した。腸骨疲労骨折のため、約4カ月の欠場を余儀なくされた影響もかなりなくなってきた様子だし、今シリーズはSS班が不在。ワールドクラスのスピードで別線を沈黙させよう。当所は19年にダービー初Vを4連勝で飾ったゲンのいいバンクでもある。
対抗格は山口拳矢だ。5月宇都宮記念では欠着と準決を乗り切れず最終日を欠場している。主力が分散する二次予選は上がり13秒4のまくりで勝ったものの、ゴール後に落車した影響はやはり少なくなかった。ここまで完調に戻せるかは流動的ながら、底力はあるので打倒脇本の一番手だろう。ダービーの二次予選で松井宏の逃げをまくりで仕留めた自力攻撃は力強かった。4月大垣の決勝は、脇本が中西大の番手戦だったので、脇本と力勝負ではなかったものの、上がり10秒9の快速まくりを決めて優勝した実績もある。
高いトップスピードを武器にエリート街道を驀進中の犬伏湧也にも魅力を感じる。S級2場所目の昨年12月高知で早々と初Vをものにすると、今年は3Vをいずれも3連勝で飾っていて、今年の勝率は70・5%を誇っている。しかしながら、F1戦の配分が多く、まだG3は2場所しか参戦しておらず、いずれも決勝には乗れていない。Gレースの実績はまだないものの、トップクラスが相手でもスピードは見劣りしない。脇本をどこまで苦しめられるか注目される。好スパートを決めて台風の目と化すか。
南関勢は野口裕史、大石剣士、堀内俊介ら自力型がそろった。地元の野口は相変わらず徹底先行で奮戦していて、直近4カ月の連がらみはすべて先行してのもの。重戦車を彷彿させる先行は迫力満点だが、成績のほうは今一つで、今年はまだF1戦でも決勝では連がらみがない。大石、堀内も同様で、今年はまだ決勝では結果を出せていない。脇本に余程の不利がない限り、苦戦は免れそうにない。
むしろ菊池岳仁、柿澤大貴、末木浩二の甲信勢のほうが侮れないか。菊池は先行基本の競走で着実に力を付けてきた。5月函館記念では一次予選、二次予選ともに先行して2着に粘っている。末木はダービー着、一次予選で敗退も3連対と気を吐いた。個の力では脇本とはかなりの差があるので、ラインの総合力で抵抗しよう。