• 小田原競輪場開設73周年記念北条早雲杯争奪戦8/25〜8/28

後記 GⅢ 小田原 08/25

夏の終わりのひとり旅

深谷知広

深谷知広

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 レースが動き始めたばかりの青板の2センターで、予想だにしないアクシデントが襲った。深谷知広の後輪に接触した田中晴基が落車。赤板手前では混乱ぶりをあらわすように別線の隊列も乱れた。ラインを失った深谷が誰よりも動揺していたはずだったが、冷静に後方でワンチャンスにかけた。
 「(スタートで)郡司(浩平)が後ろにこだわった。(地元勢は)切って自分たち待ちかなと。(そしたらフタをされたんで)想定外だった。それで(田中)晴基さんと呼吸が合わなかった。そこが残念ですね。(田中と接触した)衝撃が結構あったんで、自転車が大丈夫かなって確認した」
 単騎の清水裕友が先頭に立つ。郡司は自身の態勢を整えながら、ラインを確かめてペースは上がらない。赤板2コーナー。踏み込んだ深谷に迷いはなかった。
 「(赤板の)ホーム線くらいで(先行の)覚悟をもってた。前団がけん制してたんで、ここがチャンスかなと。全開で行きました」
スピードに乗った深谷は、打鐘ではすでに清水を大きく離してグングンと加速。最終ホームではすでにセーフティーリードに思われたが、深谷に確信はなかった。
 「手ごたえとしてはカマし切った感じだったんですけど、メンバーがメンバーなんで、もう誰も来ないでくれって」
 清水の後ろにいた深谷と別線の郡司が最終2コーナー過ぎから踏み込むが、深谷は遥かに前。まくりで猛追したが、郡司をもってしてもその差は7車身。深谷のひとり旅で、夏の小田原記念は幕が閉じた。
 「先行して逃げ切れているので、落車がなければ、100点満点ですね。落車があったので複雑な思いもあるけど、優勝できて良かったです。トレーニングのスケジュール自体は(11月の)競輪祭に向けて組んでいます。(グランプリ出場も)まったく圏外というわけではないので、しっかり頑張りたい」
 久々の記念Vの優勝賞金を上積みして、賞金ランクも12位(決勝終了時点)にアップ。5年ぶりとなる6度目のグランプリ出場も視界に入ってきた。

 4車の地元ラインの先頭を務めた郡司浩平は、単騎の清水を警戒して仕掛けのタイミングをうかがっていたその間隙を突かれた。離れながら追いかける清水の余力を見極めて最終2コーナー過ぎからまくったが、深谷を追い詰めることはできなかった。
 「清水もフワッと前に出た。普通に切りにいったら粘るかなと。(和田)真久留も内に差してたんで、飛び付かれないようにカマして行こうと思ってたら(深谷にカマされた)。清水も追いかけたんで、(最終)ホームですかさず行けるスピードじゃなかった。あらためて深谷さんの強さを痛感しました。後ろには迷惑を掛けてしまいました」

 真横で落車が起きた和田真久留は、「僕が乗り上げかけて、あれで半分以上脚を使った」と、間一髪でアクシデント避けて郡司と再連結。3着に入った。
 「早い段階で(郡司)浩平が出ていれば、深谷さんの番手にはまって優勝争いができてかもしれない。でも、深谷さんは1人になったんで、構えてくれるかなっていうのがあったんじゃないかなと…」

Race Playback

レース展開4
 落車のアクシデントで1人になった深谷知広選手が、大ガマシで後続を離して逃げ切りV。郡司浩平選手、和田真久留選手の地元勢が2、3着。

レース経過

誘導員 : 三住博昭

 号砲で浅井康太が飛び出して正攻法の位置を確保。浅井-坂口晃輔、清水裕友、深谷知広-田中晴基、郡司浩平-和田真久留-松谷秀幸-佐藤龍二で隊列は落ち着いて周回を重ねる。 青板バックを過ぎて郡司が動きだす。だが、郡司が深谷の横あたりまで上がった2センターで田中が落車してしまう。このアクシデントもあってかレースは一気にスローペースのけん制状態に。赤板入り口で誘導が退避するが、浅井は、外バンクを走行する郡司を睨んだまま。2コーナーで、がら空きとなった三重コンビの内を突いて清水が前に出ると、地元勢もそっくり続く。そこへ最後方まで下がっていた深谷の怒涛のカマシが襲う。瞬時に後続を千切った深谷を、清水、郡司、和田、そして深谷の動きに反応して内をすくった浅井の順で追っていく。だが、ハイペースで駆ける深谷に対し、清水はなかなか踏み上がらない。車間が全く詰まらないまま、1周以上過ぎた最終バックで、清水を交わして郡司が追いかける形に変わるが、深谷は悠々セーフティーリードを保って圧勝。2着は郡司で、和田、浅井が流れ込んでの3、4着。

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