今年2度目の記念VでG1に弾み
「(三谷)竜生が(最終)2コーナーで仕掛けてくれたのが一番大きい。ここしかないっていうところで行ってくれた」
シリーズ2度目となる三谷竜生とのタッグ。三谷が3番手を確保して、地元3車の先頭を務めた皿屋豊は6番手から反撃に出かけたが、前団のあおりもあってブレーキをかけた。そこに浅井康太が接触して落車。アクシデントが発生したが、近畿コンビは自分たちの走りに集中した。
「(落車で)ガシャンってなって後ろの気配がなくなった。でも、竜生がどこでいくかわからなかったんで、(三谷マークに集中して)誰がコケたのかわからなかったですね」
5月ダービーの失格の影響で9月はあっ旋がなかった山田久徳にとっては、今シリーズが1カ月以上ぶりの実戦だった。
「8月の終わりは脚が落ちてた。走り過ぎだって(村上)博幸さんにも言われました。(9月は)ほぼ休まず、バッチリ練習をやってきた」
レース勘の不安もあった一次予選では、三谷のまくりを交わしてワンツー。不安を一掃して、確かな手ごたえをつかんでいた。
「まだ自力の時はもうひとつの感じがあるけど、こんなにいいとは思わなかった。竜生が強かった。あれ(初日)を抜けたのが大きかった」
皿屋は外に浮いて後続の仕掛けはなかったが、三谷が車間を詰める勢いでまくる。逃げる太田竜馬を三谷がとらえて、山田が続く。直線では2人の勝負。あとは交わすだけだった。
「展開も味方しましたね。ただ、まくりを抜けているのは大きい。こんだけうまいこといくとは思ってなかったです」
古性優作のまくりを追い込んで優勝した1月の高松以来のG3制覇が、通算4回目となった。
「デビューして正直、ここまで記念を獲れるとは思ってなかった。いまの制度(4日制)では1回獲れればいいと。記念は難しいので、(優勝は)うれしいです」
G1初舞台の10年から12年以上がたち、山田も35歳。若くして近畿の機動型として、身を削ってきた。昨年はG1ファイナルも経験。タイトルを視野に入れてもいい存在だ。
「このあと1週間ちょっとありますけど、しっかりと練習して、しっかり勝ち上がりたい」
10月20日からは寬仁親王牌。山田は欲張ることなく、これまで通りに地に足をつけて歩んでいく。
逃げた太田を射程圏に入れた三谷竜生が、まくりで別線を一蹴。シリーズを通してらしい動きが目を引いた。
「太田君は結構、しっかりと踏んで待っていた。緩めれば行く準備はしていたけど、あの上を叩くのはキツいかなと。諸橋(愛)さんが中部の後ろにいたんで、4車で出切られたら(自分たちは)ないなって思いました。そのあとは自分のタイミングで(まくって)いった。調子に問題はないけど、楽に抜かれているので、もうちょっと頑張ります」
単騎の諸橋愛は地元勢の仕掛けに託すように打鐘では9番手。浅井の落車を内に避けると、そのまま前に踏んで6番手で皿屋と併走。優勝は遠かったが、横一線の3着争いを制した。
「(前受けの地元勢が)突っ張るっていうのもあったし、あれでジャンで行くと思った。(皿屋が)やめたのが意外でしたね。そのあとはコンマ5秒くらいですかね、迷ったんですよ。皿屋君を使った方がいいのか、使わなかった方がいいのか。その分もありました。迷わずに踏んでればっていうのもありますけど、まずは無事だったんで」