力の違いを示した完全V
グランプリ王者として挑んだ初めての開催。その強さを証明するかのように、脇本雄太が4連勝のゴールを駆け抜けた。
ラインができたのは北日本勢と近畿勢だけ。単騎2人の動きがないとみた脇本は、赤板2コーナーから踏み上げた。
「自分が行きたいタイミングというよりは、眞杉(匠)か、深谷(知広)さんが動けばそれに乗っていこうと思ってました。でも、その雰囲気がなかったので、自分からしっかり動いて行こうと思いました」
新田祐大も合わせてペースを上げるが、脇本がねじ伏せて最終ホームで主導権を奪い取る。位置を取ろうと内に降りていた古性優作だが、脇本が叩き切ったのを見るとすかさず追い上げて新田をキメる好プレー。結果を追求し、まくりに徹してきた3日間とは違う組み立てができたのも、古性との関係性があるからこそだろう。
「新田さんも全力で踏んでいて、(打鐘)4コーナーで当たられても怯まずに出切れて良かった。新田さんの動きにどう対応するのか、(古性と)かみ合わないところもあったけど、(ワンツーが決まって)修正できたと思う。古性君とのお互いの信頼関係が、結果として生まれたと思う」
そのまま一切失速することなく、逃げ切りで昨年9月の向日町以来、12度目のG3制覇を成し遂げた。もはや、誰も脇本の強さを否定することはできない。王者のプレッシャーを背負いながら、その期待に応え続けることが脇本の使命だ。
「グランプリから気持ちを切らさず、そのまま和歌山記念に挑めた。これからも目の前のレースを勝ち続けることを目標に。このあとの全日本選抜を勝てるように頑張りたい」
S級S班に返り咲いた今年は、G1にフル参戦を予定している。”脇本イヤー”が、幕を開けた。
古性優作が続いて2着。守澤太志を決めて位置を確保し、要所で追い上げて新田をさばいた。グランプリや今回の初日特選とは、また違った形でのワンツーだ。
「(守澤をさばいたのは)終わってみれば余計な動きでした。僕の動きで脇本さんが入ったとしても、新田さんもいっぱいだったと思いますし、脇本さんにとっては余計な動きだったかもしれない。(最終)1コーナーでリカバリーしたので、ほぼ脚を使っちゃいましたね。あれ(先行)が脇本さんのスタイルだと思うし、付いてて楽しかった。競輪をしたなって感じです。これから連係するにつれて、意思疎通を高めていきたい。隙のあるレースをしてしまったので、次は隙のないレースをしたい」
3着の守澤太志は、打鍾でペースが上がったところで新田との連結を外したことを悔やんだ。
「(新田が)ワッキー(脇本)を突っ張っていたのに、しっかり付いて行けなくて申し訳なかった。古性君に入られてしまったので。離れたのがすべてです。藤田(勝也)君をさばきに行ったところがミスだった」