• 奈良競輪場開設72周年記念春日賞争覇戦2/2〜2/5

後記 GⅢ 奈良 02/02

4連勝の地元記念V

三谷竜生

三谷竜生

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 ラインが一丸となって流れをつくった。4車の先頭を務めた中西大が、赤板手前で主導権を握り敢然と風を切った。番手の山田久徳は、車間を詰める勢いで最終ホーム手前から発進。それでも三谷竜生の予想通り、S級S班の赤いレーサーパンツの影が、近畿勢に襲い掛かった。
 「やっぱり来るんだなって思った」
 山田が絶妙のタイミングで前に踏んだが、阿部拓真の余力を確かめた新田祐大が自力に転じた。最終2コーナーで新田をブロックした三谷は、迷うことなくまくりにチェンジ。新田と三谷の体が重なった。
 「(前の2人が)気持ちの入ったレースをしてくれた。なんとか優勝しないといけない。僕もしんどかったけど」
 サイドバイサイドで最終3コーナーに突入。最後の一振りで新田を仕留めると、今度はもう1人のS級S班、佐藤慎太郎が迫ってきた。が、直線の短いホームバンクのゴールはすぐそこ。1輪差での優勝だった。
 「優勝したらガッツポーズをしようと思ってた。地元記念で優勝するつもりで来たんで、うれしくてこみ上げてきた」
 終わってみれば4連勝の完全Vも、予選スタートからのシリーズは、平坦なものではなかった。
 「(今シリーズは)脇本(雄太)、古性(優作)がいるんで、抜くだけですね(笑)」と、前検日にはリラックスムードで語っていたが、初日特選を終えた脇本が腰痛によるアクシデントで欠場。二次予選では3位入線の古性が失格して、一度も連係がかなわないまま近畿のS級S班2人が姿を消した。
 「ワッキー(脇本)、古性がいないなかで、(近畿は)4人が決勝に上がれた。それで僕が獲らせてもらうことができた。(2人がいなくても)近畿で戦うことができるって証明できた」
 すでに反撃の狼煙は上がっていたが、昨年は思うように結果がついてこずにF1での優勝一度だけに終わっていた。今年は前回の京王閣FIに続いて、連続Vでようやく態勢が整った。
 「(G3での優勝は)前回から期間が空いてしまってたんで、本当に獲りたかった。去年から調子が良かったけど、結果が出てなかった。今回は地元記念で結果が出て本当にうれしい」
 3年以上ぶりのグレード制覇で、あらためて存在感を示した。地元Vのここが、賞金王に輝いた18年以来のG1制覇へのスタートラインだろう。

 佐藤慎太郎は、前の新田の動きをギリギリまで見極めてインを伸びたが2着まで。
 「(新田が三谷に最終)2コーナーで一発もらった時には、まだ新田のスピードが死んでなかった。基本的には外を踏みたいと思っているし、行き切っちゃうパターンがあると。それで変に降りなかった。ゴール前で伸びてたんで、もうワンテンポ早く入っていけてたら、(三谷を)抜けていたかもしれない。悔しいけど、レースのなかでの判断はあれが最善でした」

 福島勢を追いかけた皿屋豊が、最終バックからその上をまくる。皿屋にスピードをもらった柏野智典は、冷静にコースを選択して追い込んだ。
 「突っ張られる想定はしていた。そのあとは中西君も行くだろうし、そこでモガき合いになってくれればと。細かい緩急がすごかったし、三谷君もうまかった。(皿屋は)いいスピードだったけど、自分は外に行ったらないなと。結構、脚はキツかった」

Race Playback

レース展開4
 近畿3番手の三谷竜生選手が、新田祐大選手をまくりで合わせて地元優勝。佐藤慎太郎選手が2着に伸びて、柏野智典選手が3着。

レース経過

誘導員 : 吉田篤史

 三谷竜生とのS取り争いを制して新田祐大が正攻法の位置を確保。阿部拓真-新田-佐藤慎太郎、中西大-山田久徳-三谷-栗山俊介、皿屋豊-柏野智典で並びが決まって周回を重ねる。 青板で皿屋が上昇を開始。阿部はこれを突っ張って出させない。バックで阿部が先頭に立ち、皿屋はゆっくり下がっていくが、このタイミングを逃さず中西が2センターからスパート。合わせて踏み上げる阿部を叩いて4コーナーから主導権を奪う。栗山は遅れるが、中西-山田-三谷で出切って、阿部は4番手に下がる。グングンと飛ばしていく中西の前に、阿部は反撃のタイミングをつかめないまま最終ホーム手前に入ると、後続の反撃を待たずに山田が番手まくりを敢行。阿部を見切って1コーナーから新田がまくりに転じる。2コーナーで並び掛けてくる新田をブロックしながら今度は三谷がまくりで応戦。三谷、新田の壮絶なモガき合いは、2センターから新田が徐々に遅れだして三谷に軍配が上がった。先頭で直線に戻って来た三谷はそのまま佐藤らの追撃を許さず押し切った。

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