番手まくりで4度目の小田原記念V
小田原記念は、19年以来となる優勝。ホームの川崎記念に並ぶ4度目の小田原記念制覇に郡司浩平が、4Vのポーズでファンにアピールした。
昨年の8月の当所記念では深谷知広との別線で準Vだったが、今年は地元3車の先頭を深谷が務める鉄壁の布陣だった。レースは残り2周半で深谷が出てレースを支配した。
「深谷さんの気持ちのこもった走りがあってのものですね」と、郡司が口を開く。その言葉通り、別線に反撃の隙を1分も与えない。5番手に新田祐大がスイッチして、眞杉匠は一本棒の8番手で赤板を迎える。“春の嵐”のような暴風が吹き荒れるバンクコンディション。その強風を切り裂いて深谷が、さらにペースを上げて、新田、眞杉は動けずに最終ホーム。
「思ったよりもほかのラインも反応してなかったので、(深谷は)落ち着いて駆けられたのかなって思います。一本棒でしたし、来れないだろうっていうペースだった。バンクが重いのが逆に深谷さんの強みになって、後ろも脚がたまらないというか。自分も後ろに付いていて苦しかったです」
南関勢にとっては盤石の態勢も、5番手にグランドスラマーの新田がタイミングを取ってその時をうかがっていた。
「あとは新田さんの動き次第でした。初日は眞杉君もまくりに来てたし、後ろにも地元の2人が付いていたので勝機のある仕掛けをしようと思ってました。脚がたまってなかったけど、2日目に自力を出してた分、(番手から出ても)しっかりとゴールまで踏み込めた」
さすがの深谷もスピードが鈍ったバック手前から、郡司が番手から踏み出す。新田がその上を襲い掛かるが、郡司に迫ることはできなかった。
「(最終)4コーナー過ぎにまだ誰も持ち出してなかったんで、あとはしっかりとゴールまで踏めばと。優勝できたことは大きいですね」
2着の新田に1車身半の差をつけてゴール。完勝のVが、続く地元の平塚での日本選手権にこれ以上の弾みになることは間違いない。
「地元でレースが続いていて、気持ちも入るし、次につながる開催でした。あとは(日本選手権に向けて)しっかりと気持ちを入れて、練習から気持ちを引き締めていきたい。悔いのない状態で(日本選手権の)レースに入りたい」
一昨年2月の全日本選抜以来のタイトルを地元の平塚で。小田原、川崎、平塚で計9回のG3制覇。誰もが認める南関のエースが、日本選手権Vでさらに“男を上げる”。
南関勢の後ろから郡司とほぼ同じタイミングでまくりを打った新田祐大は、さすがの破壊力も2着が精いっぱい。
「深谷がとんでもないスピードで来て、後ろもキツかったと思います。爆風でタイミングを計るのも難しくて、南関がピタリと車間を詰めていたのもあって難しかった。敵ながら見事なライン形成でしたね。郡司が踏むと思っていたし、そのタイミング次第で踏もうと。爆風で踏み上げちゃうと失速して(最終)3コーナーで伸びないと思ったし、様子を見ながら仕掛けた。深谷の動きのなかでの発進なんで、郡司もどうかなと思ったけど、自力で走ってる選手だけあって強かった」
直線の入口で内藤秀久と佐々木龍がからみ、新田マークの和田圭にコースができて3着に流れ込んだ。
「(新田が5番手に)追い上げたところはさすがだなと。深谷の先行がすごくて、余裕はなかった。けど、新田が優勝できるところから仕掛けてくれて、自分にもコースができた」