爆発的なパワーで抜き抜けV
広島3車の先頭を務めた町田太我と、四国を代表する先行屋の犬伏湧也で力勝負。前が脚力を消耗し合う流れの中で、新田祐大は一度も動くことなく脚力を温存した。
「スタートは前の方から攻めたいなと思っていました。犬伏君と町田君が後ろっていうのは想像とは違いましたけど、一番後ろにはならないように。あとは流れの中で対応しようと。いろんなパターンを想定していましたし、タイミング的に自分が仕掛けることも想定していました。どういう展開になっても対応できるようって心構えはしていました」
町田が犬伏の番手にハマって、新田は6番手の位置取り。町田が最終2センターで番手から出て、展開は松浦悠士に絶好だ。松浦は前後との間合いを計って4コーナーから踏んだが、新田の爆発的なスピードが松浦の計算の上をいった。外を追い込んだ新田が、ゴール寸前で松浦を逆転。今年の立川記念以来、通算11度目のG3制覇を手にした。
「前の状況はまったく見てなくて、スピードが緩んだと感じたタイミングで踏むだけでした。前がどうだろうが、全開で踏むだけでした」
ナショナルチームを引退してから横の動きも多用してきた新田だが、決勝はタテのスピード一本で勝ち切った。逃げて良し、まくって良し、さばいて良し。今の新田には、まったく隙がない。
「自分が先頭で風を切るレースもありましたし、様々な内容で4日間を走れた。試したいことや、課題を、結果を残さないといけない中ですべてはクリアできていないけど、良い形で締めくくれた。課題を持ち帰ってすぐに次に生かせるようにしたい。まだ小田原記念が終わってないんですけど、ダービーはまずしっかり1日目を迎えられるように。体も心も整えていきたい」
ひとつひとつ結果を残した先に、ダービーへ。SS班としての責務をまっとうするべく、すべてのレースで最善を尽くしていく。
松浦悠士はわずかに新田に外を行かれて、玉野記念に続いて決勝2着。
「(才迫)開がさばかれることは想定していなかったですね。犬伏君が1車で来て(町田)太我が番手にハマれた。(犬伏の番手から)太我が行った瞬間に慌てて踏んで内を空けてしまうと平原(康多)さんにすくわれてしまう。ちょっと待ちながら車間を空けて詰める勢いで行ったんですけどね。ゴール前でしっかりと太我をとらえるイメージだった。優勝できなくて悔しいですけど、新田さんが強かったですね。でも、今回は体の使い方と乗り方を昔を思い出してイメージしながら走った。だいぶ良くなってきている」
町田太我は3着に粘った。今節は準決で脇本雄太から逃げ切るなど、大いに活躍した。
「あんな感じでいければ、もし来たとしても犬伏さん一人だろうなって思っていました。(番手にハマって)またそこからしっかり行けた。あのまま待っていてもみんなに行かれてしまう。(最終)4コーナーは夢を見ました。もしかしたらって。でも3着に入れたんで。今回は自信になりましたね。また頑張ります」