ラインの力でS級初優勝
「F1でも優勝がなかったので、G3初優勝がS級初優勝」。昨年の大みそかにA級1、2班戦を3場所連続の完全V。今年の1月1日にS級に上がったばかりの橋本壮史にとっては、これがG3初出場。初めての9車立てと、初めてづくしで優勝の快挙を遂げた。
開口一番に「朝倉(智仁)君のおかげです」と、レースをつくった同県で同門の朝倉へ感謝の気持ちを語った。
「赤板のところで粘られることも視野に入れて構えていた。4車で出切ったのを確認できた」
朝倉と橋本の自力両者に、小林圭介と岡田泰地と茨栃ラインは強力な布陣。それでも橋本は、別線の動きを警戒することを怠らなかった。赤板過ぎに飛び出してハイペースで駆けた朝倉のスピードが落ちると、最終2コーナーは自ら前へ踏んだ。
「(番手から出る)判断が遅れるとマズいと思ったから、早めだけどいかせてもらった。小林さんと岡田さんが付いていて、朝倉君の分まで(ラインで)ワンツースリーを決めたいなと。3車で決められたし、ラインで勝ったと思っている」
初日は1レースの1番車で注目を集めて白星で突破したが、手応えを得たのは逃げ切った二次予選の勝利だった。
「予選は緊張したけど、2日目から自力を出せて先行もできた」
いきなりG3を優勝したが、F1の決勝戦もまだ1回のみ。まずは目の前にある競走で全力を尽くす。
「もっと点数の高い人たちと戦うとやられると思うので、もっと力をつけたい。自分の中では必死に走っているが、F1戦でも決勝に上がれていない現実は変わっていない。F1でも優勝を獲れるように。それでG1で常連になれるようにしたい。G1優勝はもちろん目標です」
小林圭介は初めてのG3決勝。番手から出た橋本に食らいついて2着をキープ。車単の1番人気に応えた。
「いっぱいだったので、(岡田)泰地に抜かれるかと思った。必死に追いかけました。(今回は)後輩に頑張ってもらったおかげ。こんなチャンスないですよね。(G3決勝は)初めてで、2着に入れるなんて思っていなかった。(11月の競輪祭出場権の獲得は)考えてもいなかったけど、目標ができたのでちゃんと練習をしていきたい。茨城には若い自力選手が多いので、乗り遅れないように」
岡田泰地は茨城勢の後ろをかためて、茨栃ラインに4車の厚みをもたらした。別線にからまれることもなく、ソツなく3着に入った。
「こんなにすんなりいくとは。粘られる想定もしていた。朝倉君が頑張ってくれたおかげ。今開催は余裕があったのが一番の収穫。今までだとあの展開でまくりの3番手で追走いっぱいになっていたと思うけど、今回はゴール前で差し込みにいけた。フレームを今回から元に戻したのが良かったと思う。これで競輪祭の権利をゲットできたけど、実感がまだわかない」