バンクレコードで嘉永泰斗が快勝
初日特選から抜群のスピードでを披露して決勝まで勝ち上がってきた嘉永泰斗が函館競輪場のバンクレコードを更新する10秒7の強烈なまくりで快勝。2年前に『火の国杯争奪戦』in久留米を制して以来、自身2度目の記念制覇を達成した。
初日特選で対戦していた犬伏湧也の仕上がり具合はすでに把握済み。二段掛け態勢の北日本勢ももちろん警戒はしていたが、イメージは膨らませていた。
「あの並びになったら早めに追い上げて、モガキ合いを誘って一発狙っていました。犬伏さんはすぐに引くと思っていたんですけど、下げなかったのでちょっと焦りましたけど。引いてくれたのでそこからは落ち着けました」
7番手まで下げた犬伏がホーム線を目掛けて全開スパート。気配を察知した嵯峨昇喜郎が焦って踏み込むも一瞬で叩かれてしまい、番手の新田祐大も対応が遅れてしまう。強烈ダッシュ戦の中でも、ただひとり嘉永だけは冷静だった。
「犬伏さんの仕上がりが良かったので。嵯峨君に抵抗されても踏み合いにならなくて、そのまま行ってしまうかもっていうのも頭にはありました。そうなった時にホームでうまくスイッチできるかどうかだと思っていたので。あそこの反応もダッシュも凄く良かったです」
最終ホーム過ぎに西田雅志の後ろに俊敏にスイッチ。2コーナーで車を外に持ち出してからは全力でゴールまで踏み込んだ。
「最後の3コーナーで小倉(竜二)さんにもらってバランスを崩しそうになってやばいと思ったんですけど、差されないように最後まで必死に踏みました。引き揚げてきてから(中本)匠栄さんに10秒7のバンクレコードだったって聞きました」
最終バックから自力に転じた新田も10秒7で猛追したが、2車身差でゴール線を駆け抜けた。
昨年の72周年記念を制した瓜生崇智に続き、熊本勢が大会を連覇。憧れの先輩の優勝に続く形となった。
「去年は瓜生さんが優勝していましたし、今年は自分がしたいなって思っていたので。嬉しいです。瓜生さんは自分が自転車を始めるきっかけになった先輩ですね。中学校の時に新聞で(瓜生が)インターハイを優勝しているのを見て。それで自分もやってみようと。熊本記念は番手戦でしたし、自力で勝ちたいと思っていたので良かったです」
平塚ダービーでは二次予選敗退を喫してしまったものの、シリーズを通して3度の確定板入り。3月のウィナーズカップではG2で初優出を果たしているが、目標はもちろんその先にある。
「次の目標はやっぱりG1の決勝ですね。準決勝まではいけていますけど、まだ一度も乗れていないので。G1でもっと活躍できるように力をつけていきたい」
今シリーズは唯一のS班として連日メインの12レースを任されていた*新田祐大。最終日は2度目の連係となる嵯峨に前を託す一戦となったが最高の結果を出せずに終わってしまった。
「中団か前からって考えていましたけどあの展開(青板周回から中団で併走する)は考えていませんでした。嵯峨君もいい展開になりすぎて仕掛けるタイミングが取れなかったのかもしれないですね。嵯峨君も流していてスピードに乗せづらいタイミングで(犬伏に)来られてしまって…。(番手の小倉が離れていたが)まだ嵯峨君が踏んでいるところでしたし、自分としても難しかったですね。地元地区ですし優勝しないといけないっていう使命感で頑張ったんですけど」
予想外の展開になりながらも自慢のスピードを発揮した*犬伏湧也。番手の小倉が離れるほどの加速とカカリで必死に逃げ切りを狙ったが、嘉永と新田に直線で捕まり3着に沈んでしまった。
「初手は新田さんたちの後ろからって考えていたんですけど、嘉永さんにフタをされるのが予想外で…。でもまだ(嵯峨が誘導員との車間を空けて流していて)ペースが緩んでいたのであそこで引いても行けるかなって思って引きました。ダッシュ戦になるなって思ったのでラインは乱れてしまうかもっていうのは正直、あったんですけど…。でもあそこから嵯峨君にすんなり駆けられたらまくれないと思ったので。感触は悪くなかったんですけどね。嘉永さんが強かったです」