• 和歌山競輪場GⅢ大阪・関西万博協賛競輪8/10〜8/13

後記 GⅢ 和歌山 08/10

乗れてる金子幸央がG3初制覇

金子幸央

金子幸央

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 「今思えば、あの事故も人生経験として生きている。どんなに苦しいことがあっても、あの時よりは苦しくないなって思えるので」
 3年前の20年12月、街道練習中の交通事故で背骨と左手首を骨折。130日以上の欠場を余儀なくされて、引退の危機にまで追い込まれた金子幸央が、復活のG3初制覇を噛みしめるように振り返った。
 「小林(泰正)君の後輪だけ見て、全面信頼で付いているだけでした。ジャンで前がもがき合っているのが見えたんで、チャンスだなって。関東勢に流れが来てるなって思いました。流れも気持ちも乗ってたので、落ち着いてレースができていたと思います。関東の3人の中から優勝者を出さないとと思って、思いっきり踏みました」
 岡崎智哉が打鐘で先頭に立ち、立部楓真が古賀勝大をすくって隊列がヨコに揺れ動く。小林が最終ホームからスパートして前に迫ると、最終バックでは岡崎、立部、小林で3車併走。金子は3コーナーからそのさらに外を踏んで突き抜けた。2日目に強烈なロングまくりを決めてから破竹の3連勝でのV。本来のスピードが完全に戻った。
 「記念の決勝とか、F1での失敗が自分は多かった。でも、あの時ああやって失敗したなってことを、今回は失敗しなかった。良い反省ができていました」
 デビューから11年でつかんだG3初優勝。昨年の宇都宮記念は決勝で眞杉匠の番手を回ったものの、2着に終わって悔し涙を飲んだ。ゴールの瞬間は、様々な思いが込み上げた。
 「ゴールした瞬間、宇都宮記念の悔しさを思い出して声が出た。あの時は吉田(拓矢)君が優勝してくれて良かったけど、眞杉が頑張ってくれたのに優勝できなかった自分が悔しかった。あれから1年間、ずっとG3を優勝したかった」
 これで、競輪祭への出場権もゲット。G3覇者として、G1の舞台へと返り咲く。
 「2着と優勝じゃ雲泥の差があると思っているし、競輪祭は優勝者のプライドを持って走りたい。G1の決勝にはまだ乗ったことがないし、次の目標はそこですね。それに、今回はオールスター組がいないし自分にとっては通過点。もっと上を目指してやっていきたい」
 苦難と悔しさを乗り越えてつかんだ初優勝。だが、喜びに浸るのはまだ早い。甦ったそのスピードは、さらに上の舞台でこそ輝くのだろう。

 阿部力也は勝負所で5番手を確保。最終2センターでは前がもがき合うなかでコースを探して、直線で2着まで伸びた。
 「前々に動いて、コースを見極めてラインの2人で決まるようにと思ってた。小林君に合わせてとまくれればと思ったけど、そこまでの脚はなかった。今の状態で2着ならやった方です。ちょっとは光が見えてきた」

 関東ライン3番手の芦澤大輔は最終3コーナーで金子に口が空いて3着。
 「金子君が車間を切ってから踏んだから、あそこでグンってなって惑わされてしまった。でも、大混戦だったからレースを走っていて面白かった。若手に付いて行けることが分かったし、グレードレースで活躍できるように頑張りたい」

Race Playback

レース展開4
 立部楓真選手の大立ち回りもあって機動型の3人が激しくモガき合ったまま最後の直線へ。小林泰正選手の番手で脚を溜めていた金子幸央が一気に伸びてG3初優勝を決めた。

レース経過

誘導員 : 布居寛幸

 号砲で金子幸央と古賀勝大が飛び出してスタート争いになるが、内枠の金子が正攻法の位置を譲らない。小林泰正-金子-芦澤大輔の関東勢が前受けし、以下は岡崎智哉-古賀の近畿勢、阿部力也-竹山陵太の宮城コンビ、立部楓真-中村圭志の九州勢の態勢で周回を重ねる。 赤板入り口から立部が動く。1センターで立部が先頭に立つが、すかさず岡崎が上がってきて2コーナーで九州勢を押さえて先頭に立つ。宮城勢も続いて上がってきて、引いた九州勢と打鐘では3、4番手が併走になりかけるも、3コーナーで岡崎が中バンクに上がった隙を見逃がさずに立部が1車すくって岡崎の番手を奪い取る。宮城勢は九州勢の後ろに降り、浮いた古賀はすぐさま番手に追い上げるが、立部の激しい抵抗にあう。最終1センターでは古賀を退け、ペースを上げて駆ける岡崎の番手は立部が確保。モツれる前団に対し、小林はホームから巻き返してまず宮城勢の外まで上がると、2コーナーで踏み込んで岡崎に襲い掛かる。これに立部が応戦。合わせて番手から出て、バックからは岡崎、立部、小林で車体を併せての激しいモガき合いになる。そのまま直線に入ったところで、小林後位から3コーナーで車を外に外していた金子が一気に伸びてVを奪い取る。やや遅れた芦澤を制して金子を追った阿部が2着に入り、内で踏み勝った小林をゴール寸前で逆転した芦澤が3着に突っ込んだ。

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